財務省「特定過剰サービス」の報酬減算を提案 医師偏在対策に活用(2024年11月13日)
財務省は11月13日、令和7(2025)年度予算編成に向けた建議を議論する財政制度等審議会・財政制度分科会に、診療報酬を活用した医師偏在対策の新たな措置を提案した。ある地域の特定の診療科の医療サービスが過剰であると判断される場合に診療報酬の減算を行う「特定過剰サービス」の導入が柱となる。
財政審は、令和7年度予算概算要求に向けた春の建議でも単価見直しを求め、「診療所過剰地域における診療報酬1点当たり単価を引き下げた分の公費節減効果を活用して医師不足地域における対策を強化することも考えられる」としていた。
実効性ある医師偏在対策のためには、「診療報酬上のディスインセンティブ措置が不可欠」との考えに立ち、適切なアウトカム指標導入とセットで、付加価値の低い「特定過剰サービス」に対する減算措置を導入すべきとした(下図)。
基準超過分の報酬を減算、一定の医療機関は対象外に
減算措置については客観的な基準を設定し、地域や診療科ごとに医療サービスが過剰かどうかを判断する。基準を超える場合、需要の掘り起こしが起きていると見なし、超過分の診療報酬を減算する。
ただし、日本医療機能評価機構の病院機能評価やかかりつけ医機能に基づくアウトカム指標を満たす医療機関については減算の対象外とする。
1点10円の診療報酬単価を見直し、診療所が過剰な地域の単価引き下げや地域別単価の導入も改めて示した。
自由開業制への制限も視野に
さらに、ドイツやフランスで採用されている診療科別・地域別の開業医定員制を参考に、総量規制を進めるべきと指摘。わが国の自由開業制に制限を加え、需給調整の仕組みを構築する必要性を強調した。
さらに実効性を担保すべきとの認識で、「これまでにない踏み込んだ対応を行う」ことを求めた。