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2026年度医学部臨時定員を巡り議論 医師の偏在と医療費上昇の対策に焦点(2024年2月26日)

厚労省の医師養成過程を通じた医師の偏在対策等に関する検討会は2月26日、2026年度の医学部臨時定員について議論した。慶應義塾大学の印南一路委員と早稲田大学の野口晴子委員は医師数と医療費、賃金との相関関係を報告した。

報告によると、◇医療費増加の最大要因は医師数で、医師数の増加を放置すると、医師1人当たりの収入は減少。人口当たり医師数は増加し総医療費は増加◇医師偏在指標が高い都道府県ほど医師の年間報酬額は有意に低い傾向がある―との分析結果が示された。

これらを受け、多くの委員から臨時定員を削減すべきとの意見が出た。

日医の釜萢敏委員は、「2026年度の臨時定員(の比率)は増やさない方向性で考える必要があり、臨時定員増員前の2005年の水準を基本に定員数を考えるべき」と厳しい水準での検討の必要性を強調した。

一方で、全国知事会からは、「医師偏在是正策として他の有効な対策がわからない現状では、都道府県間の是正解消のために引き続き臨時定員枠を活用すべき」と、臨時定員の維持を求める意見が出された。

全日院の神野正博委員は、「医師養成数のあり方と偏在対策は『対』であり、偏在対策の政策が乏しいままでは、臨時定員数を大幅減することは難しい」と強調した。その上で、「例えば東京のような医師多数都道府県から医師少数都道府県への移動を促すといった、病院、診療所の偏在も改善させることを含めて(地域枠以外の方法でも効果のある対策を)検討すべき」との考えを示した。

印南委員はこれに賛同し、「若手医師が特に東京で開業するのが、偏在を悪化させる大きな要因の一つと言える。自由開業制が大前提であり、判断は難しいが、医師の立場に立って考えると、医師多数地域の開業制限を考えたほうがよいのではないか」と述べた。

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