協会けんぽが令和6年度都道府県単位保険料率を決定 最高は佐賀支部10.42%(2024年1月29日)
全国健康保険協会(協会けんぽ)は1月29日の運営委員会で、令和6年度の都道府県単位保険料率を決定した。最高は佐賀支部の10.42%、最低は新潟支部の9.35%となった。令和6年3月分の保険料額(任意継続被保険者は4月分)から適用する。介護保険料率は1.60%(令和5年度1.82%)に変更することも決めた。【社会保険旬報編集部】
最低は新潟支部の9.35%
全国平均保険料率については、前年度の10.00%を維持することが12月20日の運営委員会で決定されていた。今回、これを踏まえつつ各支部の意見を聞いた上で都道府県単位保険料率を決めた。
保険料率の最高は佐賀10.42%(令和5年度10.51%)で、福岡10.35%(同10.36%)、大阪10.34%(同10.29%)の順。最低は新潟9.35%(同9.33%)で、次いで青森9.49%(同9.79%)、沖縄9.52%(同9.89%)と続いた(下表)。
佐賀は14年連続の最高料率で、新潟は10年連続の最低料率となる。両支部の差は1.07ポイントで、前年度の1.18ポイントよりも縮小した。
前年度よりも保険料率を引き上げる支部は24、引き下げる支部は22、変更がない支部は1。前年度より料率が最も上がったのは石川の+0.28ポイント、最も下がったのは沖縄の▲0.37ポイント。全国平均の10.00%を上回る支部は19となった。
都道府県別設定の見直し求める声も
支部長の意見として、保険料率変更に対し「反対」は0支部、「妥当、容認」は24支部、「やむを得ない」は23支部だった。
都道府県単位保険料率となって以来初めて全国平均保険料率を下回った島根支部は、支部長意見で「令和6年度保険料率について妥当と考えるが、都道府県単位で保険料率を設定する必要性は低いと考える。保険料率の差が地域の実情を踏まえた医療費適正化に効果的であるとは言い難く、法改正も含めた仕組みの見直しを検討すべき」と要望した。
インセンティブによる医療費適正化のエビデンスが必要
産業医科大学の松田晋哉委員は、「現行の制度はインセンティブによって保険料率が変化する。インセンティブのベースとなる取組みによって医療費が抑制されているといったエビデンスを示さなければならない。そのうえで有効な取組みを広報していくことが必要だ。また、医療費の適正化は被保険者へ向けた行動変容だけでは難しく、職能団体へのアプローチも必要ではないか」と述べた。