認知症施策推進基本計画の策定へ「幸齢社会」実現会議が意見まとめる(2023年12月25日)
政府の「認知症と向き合う『幸齢社会』実現会議」(議長=岸田文雄首相)は12月25日、認知症施策の基本的な考え方などを盛り込んだ意見のとりまとめを行った。【社会保険旬報編集部】
写真:認知症と向き合う「幸齢社会」実現会議でとりまとめを行う岸田首相=2023年12月25日(首相官邸提供)
今年1月1日から施行された認知症基本法にもとづく「認知症施策推進基本計画」(基本計画)の策定に当たっては、認知症施策推進本部に認知症の人や家族等により構成される関係者会議を設置し、同会議の意見を十分に踏まえて策定することとされている。実現会議は昨年9月、認知症基本法の施行に先立ち、認知症の本人・家族、有識者の声を政策に反映するために設置。4回にわたって開催され意見をとりまとめた。
実現会議は本部に対して次の3点を求めた。
基本法の施行が2024年1月1日とされたことを踏まえ、基本計画について「とりまとめ」を十分踏まえ策定すること
次期通常国会において、介護離職防止のため育児・介護休業法の改正に取り組むこと
高齢者の生活上の課題について、ガイドラインの策定、必要な論点整理等を進めること
また、次の6項目について意見のとりまとめを行った。
基本的考え方
普及啓発・本人発信支援
地域ぐるみで支え合う体制など
家族等の支援(仕事と介護の両立支援)
研究開発・予防
独居高齢者を含めた高齢者等の生活上の課題関係
「3.地域ぐるみで支え合う体制など」では、地域でつながりがある居場所や社会のなかでの役割が必要で、若年性認知症の人をはじめとして社会参加や就労機会の確保が必要と指摘。認知症の人の意思決定支援・権利擁護において早期かつ継続的に意思決定支援を行える環境整備が重要で、そのためのサービスマップの作成を含めた地域の支援の仕組みづくり、ピアサポート活動の充実が必要とした。
同会議で岸田首相は、「これまでの議論を通じ、認知症基本法が、いかに関係者のみなさんの想いが込められたものであり、ご本人やご家族の参画の下で施策を進めることがいかに大切であるかが改めて浮き彫りになった」と発言。その上で、同法に基づく推進本部とともに、関係者から構成される会議を早々に立ち上げて基本計画の策定に着手する方針を示した。
業界業種ごとの手引き作成については、年度内に工程表を策定するよう指示し、「本会議での意見を踏まえ、ガイドラインを策定するとともに、官房長官を中心に必要な論点の整理等をさらに進め、骨太の方針にその内容を今後の方針とともに盛り込むようにしてほしい」と要請した。