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新しい年金時代

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2023年9月の記事一覧

#4 | 子のアルバイトが親の税負担を増やす⁉

はじめに 昨年、顧問先の社長のK氏からこんな相談がありました。 「大学生の息子がアルバイトをもっとたくさんやりたいと言っているのですが、僕の扶養の範囲を超えて働くとどのくらいの影響があるのですか?」 そこで私は、「Kさんは報酬が高い方ですからかなり税金が増えますよ。後で試算してから具体的な金額をお返事しますね」と答えました。 そのときは税金の話だけをしましたが、息子さんの収入次第では健康保険の扶養からも外れることになります。 そこで今回は、子(今回のコラムでは、アルバイ

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三宅社労士の年金実務セミナー|#15 妻が死亡した場合の遺族年金4パターン

遺族年金は、夫が亡くなって遺された妻や子供が受給するケースが多いと思われます。一方、先に妻が亡くなった場合にはどのようになるのか、という質問をよく受けます。そこで今回は、夫婦と子(15歳・1人)が一緒に生活していた一般的な例で、妻が亡くなった場合の遺族年金について見ていきます。遺族年金にはさまざまな要件がありますが、今回は妻の年金加入歴と年齢、夫の年齢と年収を変えた4パターンで説明します。 事例① 妻は国民年金のみに20年加入して死亡妻は40歳で死亡/夫は46歳で子(15歳

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#27 遺族厚生年金の請求が認められた内縁の妻のケース

今回は、前回とは逆に内縁の妻と亡夫との生計維持関係が明らかだったケースです。内縁の妻に遺族厚生年金の受給権が認められるためには、戸籍上の妻と亡夫との「婚姻関係が実体を全く失ったもの」となっていることが必要で、これが本ケースのポイントです。今回は、「婚姻関係が実体を全く失ったもの」とはどういう状態なのかを中心に見ていきます。 内縁の妻からの遺族厚生年金の請求老齢厚生年金受給者のA雄さんが死亡したとのことで、内縁の妻というC子さんが年金事務所に遺族厚生年金の請求に来所しました

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令和5年10月から「老齢年金生活者支援給付金の所得基準額」が引き下げに

年金生活者支援給付金は、公的年金等の収入やその他の所得額が一定基準額以下の年金受給者の生活を支援するために、年金に上乗せして支給されるものです。10月から翌年9月までが適用期間となっており、1年ごとに日本年金機構において支給要件に該当するかどうかを認定します。 また、支給要件の1つである所得基準額は毎年、見直されます。令和5年度(令和5年10月から令和6年9月まで)は、老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金について、所得基準額(及び補足的所得基準額)が引き下げとなります。

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#5 繰下げ受給の改正と注意点(令和5年4月実施)70歳以降に請求する場合の5年前時点での繰下げ制度

令和5年4月から「5年前みなし繰下げ制度」がスタート。この制度は、繰下げ待機中の人が70歳以降に年金を請求する際、繰下げ受給を選択しない場合に5年前に請求があったものと「みなして」増額した年金が受け取れるといるものです。 年金受給には時効がある 老齢年金の受給権は、原則65歳で発生しますが、繰下げ受給制度により、受給開始年齢を66歳以降75歳(昭和27年4月1日以前生まれの人は70歳)の間で選択することができます。ただし、年金を受ける権利は、権利が発生してから5年を経過し

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#23 がんによる障害年金請求

 がんは、さまざまな部位に発症し、身体及び生命に重篤な症状をもたらす可能性がある非常に危険な疾患です。  しかし、障害年金請求においては、重篤な症状になる「可能性」があるというだけでは請求できません。がんによって、実際に身体のどこの部位が機能しなくなっているのかが重要になります。  従って、仮に余命宣告をされていたとしても、まだ具体的に身体の機能的な障害が出現していない場合は、障害年金を請求しても不支給になる可能性が高いのです。  こうしたことから、がんによる障害年金請求は

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居酒屋ねんきん談義|#8 第15回年金部会「社会保障審議会年金部会における議論の整理」を巡って その4

年金を取り巻く、いまの日本の状況をどうとらえるか?権丈:さて、ここで、またまた、大局的な視点でお話を伺いたいのですが、出口さんは、いまの日本が置かれた状況を、どうご覧になっていますか。 出口:歴史的に見たら、この国は、極論すれば存亡の危機に立っていると思うべきです。というのも、この30年間で、PPP(購買力平価)で見たGDP(国内総生産)の世界シェアは9%から4%にまで落ちているのです。スイスのIMD(国際経営開発研究所)による国際競争力では日本は30年前のトップから201

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居酒屋ねんきん談義|#7 第15回年金部会「社会保障審議会年金部会における議論の整理」を巡って その3

まちがったことを言う人には、きちんと反論しておくことが大切権丈:年金って、ほんっと、実にくだらない話がいろいろとあったわけでして、むかしは債務超過600兆円だとか年金が破綻しているというバカバカしい話をつぶすのに、ぼくたちはずいぶんと時間を費やされました。堀勝洋先生が今年1月に「執筆活動もこの辺で終えるべきときがきた」と書かれてまとめられた最終論文*の最後の文章は「筆者はトンデモ論にかかわり過ぎたことに対し若干の悔いは残る…」でした。堀先生の、この空しく残念なお気持ちを最も理

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居酒屋ねんきん談義|#6 第15回年金部会「社会保障審議会年金部会における議論の整理」を巡って その2

民主主義だからこそ、市民に政策決定のプロセスを理解してもらうことが大切権丈:坂本さんも実際に2004(平成16)年制度改正をご担当されていたので、お伺いしたいのですが、たとえば、年金局の担当になり改革を進めようとされるとき、これまでどのような方法で改革を実現するための法律の作成まで進めようとされたのでしょうか。おそらく出口さんもそうだと思うのですが、ぼくは政策を動かしていく力と現実の民主主義のあり方ということを意識するんですよね。  いままでは毎回毎回、役人は非公開の場、言わ

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居酒屋ねんきん談義|#5 第15回年金部会「社会保障審議会年金部会における議論の整理」を巡って その1

知の巨人・出口さんが年金部会の議論に参加して感じた3つのこと編集部:今宵の居酒屋ねんきん談義は、年金部会の「議論の整理」*1がまとまり、部会での議論もひと区切りついたことから、年金制度改正*2の議論を大局的な視点からお話をお伺いしたいという権丈様の強いご希望で、1万冊以上の本を読破され、世界中で1,200都市以上を訪れられている、「知の巨人」と評される出口治明様においでいただきました。 *2:今回の年金部会が議論した2019(令和元)年財政検証結果を踏まえた年金制度改正

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謎の新興国アゼルバイジャンから|#22 ノヴルズ祭―春を告げる平和な祭りとそれを支える「社会の安定」

アゼルバイジャン最大の祝祭ノヴルズ前回お話ししたように、ここアゼルバイジャンでは、3月下旬に「ノヴルズ Novruz」という大きなお祭りがあります。今年は3月19日から26日までの1週間、官公庁も職場も学校もお休みとなり、国中でノヴルズを祝う行事が行われました。 「ノヴルズ」とはペルシャ語で「新しい日=新年」という意味だそうで、春の到来=新年を祝う祭りです。古代ペルシア・ゾロアスター教に起源のある3,000年以上の歴史のあるお祭りで、2009年にユネスコ無形文化遺産に登録され

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謎の新興国アゼルバイジャンから|#21 コーカサスの地で見る日本美術への関心

アゼルバイジャン国立美術館で日本美術展を開催中みなさんこんにちは。 前回、前々回と重たいテーマを題材にしましたので、今回は軽め(笑)の話題でいきたいと思います。みなさんお気軽に読み進めて下さい。 2月下旬から3月上旬にかけて、バクーは天候不順で風雨の強い日々が続いたそうです。ちょうどこの期間、日本(外務本省)で欧州大使会議が開催されており、私は公務帰国中で不在でしたが、連日ちょっとした台風並みの風雨だったそうです。 地元の人に聞くと、「この天気は冬が明けて春が来るっていうし

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労働者協同組合という働き方|#12 労働者協同組合における労働契約について【最終回】

これまでの振り返り本連載では各回のテーマについて課題を考察し解決するためのアイディア等を検討してきました。テーマとしては、労働者協同組合法に示されている基本原理の3つと法律には示されていないものの組合の組織運営上で必要となる仕組みに大別されます。以下の表はこれまでのテーマ、課題等の概要です。( )内の数字は連載の回数を示しています。 本連載でお示ししたアイディア等は、実際に適用するためには工夫が必要なものも少なくありませんでした。ただし労働者協同組合では課題に対して組合員自

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謎の新興国アゼルバイジャンから|#20 歴史から何を学ぶのか【後編】私たちは自分の歴史とどう向き合うのか

歴史は「通時」と「共時」の双方の視点で見ることが必要前回、国際ホロコースト記念日に際してここバクーで開催された、「Beyond Duty -Diplomats recognized as Righteous of the Nations」と題したシンポジウムに参加した話を書きました。 お話ししたように、第二次大戦下にあって、外交官としての職責を超えて人道的な行動を行い、「正義の人」として表彰された外交官たちを題材に、外交官としての職責と人道的行為との間の葛藤にどう向き合うべ

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