マガジンのカバー画像

年金時代(無料版)

280
年金・雇用労働関連のニュースや連載記事を掲載している無料マガジンです。
運営しているクリエイター

記事一覧

令和7年度の国民年金保険料の前納額を発表

 厚生労働省は1月24日、同日令和8年度の国民年金保険料額が公表されたことに伴い、令和7年度の国民年金保険料の前納額を公表した。国民年金では、一定期間の保険料をまとめて納付することにより保険料額が割引される前納制度を設けている。前納する期間により、⑴6ヵ月前納⑵1年前納⑶2年前納――がある。  ⑴6ヵ月前納の場合の保険料額(令和7年4月~令和7年9月分の保険料または令和7年10月~令和8年3月分の保険料が対象)は、口座振替の場合103,870円(毎月納付する場合より1,19

令和7年度年金額は前年度から1.9%のプラス改定

 厚生労働省は1月24日、総務省から令和6年平均の全国消費者物価指数(生鮮食品を含む総合指数)が公表されたことを踏まえ、令和7年度の年金額を法律の規定に基づき令和6年度から1.9%引き上げると発表した。  年金額は、物価変動率や名目手取り賃金変動率に応じて、毎年度改定する仕組みとなっている。令和7年度の年金額改定の指標については、物価変動率2.7%、名目手取り賃金変動率2.3%、マクロ経済スライドによるスライド調整率▲0.4%となった。物価変動率(2.7%)が名目手取り賃金

遺族年金の請求を効率よく、効果的に説明するための遺族年金マニュアルシート

「遺族年金マニュアルシート」は、年金業務に携わる実務者の方が遺族年金を請求する方に対して、制度や年金の受け取り方、請求手続などを効率よく、効果的に説明するためのシートです。限られた時間でお客様がお求めになっている疑問や不安に確実にお応えするためのツールとして、お使いください。 現在、令和7年度版を準備中です(3月発行予定)。 ポイント1 死亡者の加入の年金制度と遺族によって、遺族年金のかたちが変わります 死亡した人が死亡時にどの年金制度に加入していたのか、遺族は配偶者か、

DCの拠出限度額を見直しへ――企業年金・個人年金部会における議論の整理

厚生労働省の社会保障審議会企業年金・個人年金部会(部会長=森戸英幸・慶應義塾大学大学院法務研究科教授)は昨年12月26日、次期年金制度改革に向けた取り組みの方向性について審議し、取りまとめを行った。 個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入可能年齢の上限の引き上げについては、政府が令和4年11月に決定した「資産所得倍増プラン」で70歳未満に引き上げるために必要な措置を講ずることとされており、同部会で具体的な内容について検討を行った。引き上げの対象となるのは、国民年金被保険者で

年金制度改正の方向性が示される――第24回年金部会

厚生労働省の社会保障審議会年金部会(部会長=菊池馨実・早稲田大学理事、法学学術院教授)は昨年12月24日、次期年金制度改正に向けた取り組みの方向性について議論の取りまとめを行った。 短時間労働者の被用者保険の適用拡大については、現行の月額賃金8.8万円(年収計算で約106万円)の賃金要件と、従業員数51人以上の企業規模要件を撤廃することとしている。また、常時5人以上の従業員を使用する個人事業所のうち、農業や林業、漁業、宿泊業、飲食サービス業などの非適用業種についても適用対象

対象者の約1割が電子申請で老齢年金を請求――日本年金機構の令和6年度の取組状況

厚生労働省の社会保障審議会年金事業管理部会(部会長=松山遙・弁護士)は昨年12月25日、日本年金機構の令和6年度の取組状況について報告を受けた。国民年金の現年度納付率は令和6年9月末時点で72.5%となり、前年の71.1%から1.3ポイント上昇した。令和5年度分保険料の過年度1年目納付率は、令和6年9月末時点で81.7%となり、前年の77.6%から4.0ポイント上昇。また、令和4年度分保険料の最終納付率は、令和6年9月末時点で83.9%となり、令和4年度末の76.1%から7.

#59|労働条件明示の改正対応に同一労働同一賃金の視点を

形式的な対応では不十分 令和6年(2024年)4月1日に労働基準法が改正されました。正確には、労働基準法施行規則の改正と「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」の改正です。 改正内容は「労働条件明示のルール」の変更についてでした。 昨年の法改正ですので、すでに労働条件通知書や雇用契約書などの社内書式の更新は行ったうえで、運用も始めていると思います。 書式の変更という具体的改正であるため、どうしても「今後はどのように記載すればよいか」といった形式的な対応になり

業務のオンライン化を重点的に推進――令和7年日本年金機構理事長年頭挨拶

日本年金機構理事長の大竹和彦氏は1月6日、機構職員に向けた年頭挨拶を行い、令和7年の組織目標である「挑戦と改革」を示した。 大竹理事長は、日本年金機構の令和7年度における重点的な取組として①業務処理のオンライン化の推進②お客様チャネルの再構築③基幹業務の更なる推進④柔軟で多様な働き方の実現――の4項目を挙げた。 これらのなかで①の業務のデジタル化・オンライン化を一番大きな目標と位置づけ、「紙の届書などは郵送代や記入の手間がかかるが、デジタル化を進めることによってお客様にと

次期運用目標の利回りは1.9%の確保をめざす――GPIF次期中期目標期間の取り組みの方向性

厚生労働省の社会保障審議会資金運用部会(部会長=神作裕之・学習院大学法学部教授)は昨年12月24日、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の次期中期目標期間の取り組みの方向性について検討を行い、取りまとめを行った。 GPIFの次期運用目標期間では、実質的な運用利回りの目標を1.9%とする案が厚労省から示され、委員からは運用目標の設定について慎重な説明の必要性やリスク管理の重要性が指摘された。基本ポートフォリオについては、引き続き、「名目賃金上昇率から下振れするリスク(下

運用収入の実績が見通しより改善する傾向に――令和5年度財政状況

厚生労働省の社会保障審議会年金数理部会(部会長=翁百合・(株)日本総合研究所理事長)は昨年12月23日と今年1月14日、厚生年金保険(第1号)、国民年金・基礎年金制度、国家公務員共済組合、地方公務員共済組合、私立学校教職員共済制度の令和5年度財政状況について各実施機関から報告を受けた。いずれの制度でも実質運用利回り(スプレッド)が見通しを上回る結果が示された。 厚生年金保険(第1号)の収入総額は49兆701億円、支出総額が46兆7,084億円となり、収支残は2兆3,617億

年金請求書の変更について意見募集

厚生労働省は昨年12月19日、年金請求書について、記載事項の簡略化や公金受取口座の登録意思の確認などについて意見募集を開始した。併給できない他年金の名称など社会保険オンラインシステムなどで確認が可能なものについては、記載事項を削除して簡略化する。この変更は、令和7年3月1日施行予定。また、年金請求書に記載する年金受取口座を公金受取口座として登録する場合、その旨を記載することとする。この変更は、令和7年6月1日施行予定となっている。 意見募集は令和7年1月17日に締め切られる。

70歳までの就業確保措置を実施している企業は31.9%に増加

厚生労働省は昨年12月20日、令和6年高年齢者雇用状況等報告の集計結果を公表した。定年を65歳未満に定めている企業は、65歳までの定年制廃止や定年の引上げ、継続雇用制度の導入のいずれかの方法で雇用確保を行う義務がある。65歳までの雇用確保措置は99.9%の実施率となり昨年の前回調査から変動はなかった。このうち、定年廃止は3.9%(前回調査から変動なし)、定年の引上げは28.7%(同1.8ポイント増)、継続雇用制度の導入は67.4%(同1.8ポイント減少)となった。 70歳ま

新年を迎えて (年頭御挨拶)

厚生労働省年金局長 間 隆一郎  令和7年の新春を迎えるに当たり、謹んでお慶び申し上げます。  また、日頃からの年金制度・事業運営へのご理解とご協力に、厚く御礼を申し上げます。  近年は、平均余命の伸長による高齢期の長期化や働き方の多様化が進んだことにより、高齢者や女性の就業率が上昇しており、こうした時代の変化を年金制度に反映し、高齢期の経済基盤の充実を図ることができるよう、制度の見直しを行っていくことが必要です。  昨年公表した5年に一度の財政検証では、近年の女性や高齢者

年頭所感

厚生労働大臣 福岡 資麿  令和7年の新春を迎え、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。本年も何とぞよろしくお願い申し上げます。  厚生労働大臣に就任し、約3か月が経ちました。この間、国民の皆様の安全・安心の確保に万全を期すことにより経済活動の安定に資するよう努力してまいりました。引き続き、私自身が先頭に立ち、厚生労働省一体となって様々な課題に全力で取り組んでまいります。 (略)  いわゆる「年収の壁」を意識せずに働くことができる環境づくりのため、「年収の壁・支援強化パッケージ