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年金時代(無料版)

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記事一覧

#57|女性活躍の動向分析―時間に制約があっても主役になれる職場へ【前編】

女性活躍の背景 少子高齢化により深刻な労働力不足が予想され、高齢者や外国人などあらゆる潜在的な労働力を掘り起こそうとされている中で、「我が国最大の潜在力」と位置づけられているのが女性です。 働き続けたいと希望するすべての女性が能力を発揮できるようにすることを目的に、2016年に女性活躍推進法が10年間の時限立法として施行され、2022年の改正では労働者数101人~300人以下の事業主にも行動計画の策定・公表義務が拡大されました。 出生率をあげ次世代の社会保障の担い手を

期間収益率は3.57%のマイナスに――GPIF2024年度第2四半期運用実績

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は11月1日、2024年度第2四半期(7月~9月)運用状況を公表した。2024年度第2四半期の期間収益率は3.57%のマイナスとなり、期間収益額は9兆1,277億円のマイナスとなった。市場運用が開始された2001年度以降の収益率は4.26%(年率)のプラスとなり、累積収益額は153兆6,431億円のプラスだった。その結果、2024年度第2四半期末現在の運用資産額は248兆2,274億円となった。 GPIFの宮園雅敬理事長は同日、日本

DBの給付減額の取り扱いなどを審議――第37回企業年金・個人年金部会

厚生労働省の社会保障審議会企業年金・個人年金部会(部会長=森戸英幸・慶應義塾大学大学院法務研究科教授)は11月8日、①個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入可能年齢と受給開始年齢②拠出の在り方③DBの給付減額の判定基準や手続き――について審議した。   iDeCoの加入可能年齢については、政府が策定した「資産所得倍増プラン」で70歳まで引き上げることが示されている。引き上げを実施した場合、現行では働き方によって加入可能年齢が異なっているため、新たな加入要件を設定する必要がある

多様な年金の給付水準の示し方などを審議――第19回年金部会

厚生労働省の社会保障審議会年金部会(部会長=菊池馨実・早稲田大学理事、法学学術院教授)は11月5日、多様なライフコースに応じた年金の給付水準の示し方などについて審議した。毎年、年金額改定が行われる際に公表している厚生年金のモデル年金は、会社員等として平均的な収入で40年間働いた夫と専業主婦の妻の夫婦世帯を想定して算出してきたが、ライフスタイルの多様化などに合った示し方にするべきだと以前から指摘されていた。 このため、厚労省は令和6年財政検証結果を活用し、現行のモデル年金のほ

フリーランスの約8割、委託者側の約5割はフリーランス法「知らない」—―厚労省・公取委実態調査

厚生労働省と公正取引委員会は、令和6年5月から6月に委託者側とフリーランス側の両方に行った「フリーランス取引の状況についての実態調査」を10月18日に公表した。この調査は、令和6年11月1日に施行される「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(以下、フリーランス法)の施行前の状況を調査したものである。それによると、フリーランス法を「知らない」と回答したのは、フリーランス側で76.3%、委託者側で54.1%となった。 フリーランス法では、フリーランスに1か月以上の業

地域イベントで年金委員として活動して感じたこと——地域の中で‟年金の見える化”を!

埼玉県年金委員会会員より  真夏のような太陽が照りつける9月14日㈯、私たち埼玉県年金委員会が加盟する地域コミュニティー「浦和東部地区元気アップネットワーク」開催の「みんなの健康フェア」(浦和駒場体育館)に参加しました。  このイベントは概ね年2回開かれます。今回のイベントの中で展開された種目はブラインドサッカー、ソフトバレー、ボッチャ、トランポリン、ディスコン、テニス、健康相談・測定、年金相談等で、約400人の親子が楽しんでいました。 年金の課題は地域の中に埋もれてい

『FOCUS!年金改正 社会保険の適用拡大』好評発売中!

令和6年10月実施の社会保険の適用拡大にフォーカスしたパンフレット『FOCUS ! 年金改正 社会保険の適用拡大』が社会保険研究所から好評発売中です! 厚生年金・健康保険の適用範囲の拡大で何が変わるのか、従業員や企業にとってどんなメリットがあるのかを8ページでコンパクトに解説したパンフレットです。 パンフレットの掲載内容以下にパンフレットの掲載内容を紹介します。A4サイズ8ページで次のとおり3部構成となっており、従業員・企業双方にとってのメリットと企業に求められる対応を簡潔

勤務間インターバル制度を「導入した」企業は全体の6%、「知らない」企業は19.2%—―令和6年版過労死等防止対策白書

厚生労働省は、10月11日に「令和6年版過労死等防止対策白書」を公表した。これによると、勤務間インターバル制度について、制度を導入している企業(就業規則または労使協定等で定めているもの)の割合は、調査対象である常用労働者30人以上の民営企業で、令和5年で6.0%となった。前年の5.8%から0.2ポイントの増加となったが、「制度を知らない」と回答した企業は全体で19.2%であった。 令和6年に閣議決定された「過労死等の防止のための対策に関する大綱」の数値目標は、労働者数30人以

#56|テレワーク制度の見直し~BCP、改正育児・介護休業法施行を見据えて~

テレワークの現状 新型コロナウィルス感染症の流行を機にテレワークを導入する企業が増え、現在もテレワークのメリットを生かし、制度を継続する企業が存在します。また、労働者もテレワークをきっかけに仕事と生活の両立が容易になったり、新たに働く機会を得たりすることができるようになりました。 しかし、一部の企業ではテレワークから出社勤務に戻る動きが出ているように、テレワークに対する企業姿勢に変化が生じています。 全国平均におけるテレワーク実施率は、コロナ禍前と比べ、令和3年、令和4

「アセットオーナー・プリンシプル」の受入表明は9月末時点で17機関

政府が8月に策定した、アセットオーナーが受益者の最大利益を勘案して行動すべきであるとした「アセットオーナー・プリンシプル」に対して受入表明をしたアセットオーナーは9月末時点で17機関である、と内閣府が発表した。 内閣府が発表した「アセットオーナー・プリンシプル」を受入表明したアセットオーナーは以下の通り。 リストを見ると、公的アセットオーナーがそろった感がある。国民年金基金連合会は、「加入者及び受給者の最善の利益を勘案して、積立金を運用する責任(フィデューシャリー・デュー

労働者協同組合設立が110を超える――労協法施行から2年

令和4年10月1日に施行された「労働者協同組合法(労協法)」に基づき設立された労働者協同組合は令和6年10月1日現在で、110法人を数えた。 少子高齢社会における多様な働き方の選択肢を広げるために施行された同法の下に、地域に根差したさまざまな法人が1都1道2府27県で誕生している。 労働者協同組合は、 1) 組合員が出資すること 2) その事業を行うにあたり、組合員の意見が反映されること 3) 組合員が組合の行う事業に従事すること の基本原理に従い、持続可能で活力ある地域社

iDeCo+(イデコプラス)における届出内容の変更などについて意見募集

厚生労働省は9月25日、iDeCo+(イデコプラス・中小事業主掛金納付制度)の届出内容の変更などについて意見募集を開始した。iDeCo+は、企業型確定拠出年金(企業型DC)や確定給付企業年金(DB)などの企業年金を実施していない従業員数300人以下の事業主が、個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入している従業員の掛金に上乗せして掛金を拠出できる制度。iDeCo+の事業主掛金に関する変更があった場合、事業主は届書に変更前の掛金額を記載する必要があるが、手続きの簡素化を図るため、

退職準備者に必須の情報が満載!ライフプランセミナーのテキストにも『今日から始める!ライフプラン』

令和6年度版『今日から始める!ライフプラン』(A4判・80頁)は、ライフプラン作りのノウハウと退職準備に必須の社会保険の給付・手続きを網羅した手引書です。そろそろライフプランを考えたい方の入門書として、また各種ライフプランセミナーのテキストとして、ご活用いただいている本書の内容をご紹介します。 まずは内容のご紹介第1章 ライフプランについて考えよう 1.ライフプランとは 2.ライフデザイン・ライフイベントとは 3.基本的な3つのプラン(生きがいプラン・健康プラン・家庭経済プ

GPIFが経団連と「アセットオーナーラウンドテーブル」創設

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は9月17日、一般社団法人日本経済団体連合会(経団連)と、「経団連・GPIF アセットオーナーラウンドテーブル」の創設で合意したと発表した。 同ラウンドテーブル創設の目的は、アセットオーナーは受益者の最大の利益を勘案して行動すべきとして政府が8月28日に定めた5つの原則である「アセットオーナー・プリンシプル」策定後、企業との継続的な意見交換の場を新たに設けるためとしている。 第1回会合は10月3日に開催予定。アセットオーナー側の参加