見出し画像

依然として人材不足感が強い――令和5年度介護労働実態調査の結果報告書を公表 介護労働安定センター(2024年7月10日)

介護労働安定センターは10日、令和5年度介護労働実態調査の結果報告書を公表した。介護事業所では、依然として人材不足感が強いが採用率は増加しており離職率は低下傾向にあるとした。労働者の仕事の満足度は「仕事の内容・やりがい」「職場の人間関係・コミュニケーション」が高く、「賃金」に関しては低いとした。

従業員の過不足状況について、「事業所全体」では「不足」(「大いに不足」「不足」「やや不足」)の回答は64.7%で、より深刻な不足感を抱いている「大いに不足」と「不足」の合計が34.0%となった。

「訪問介護員」は、「不足」の合計が81.4%と約8割で、「大いに不足」「不足」の合計だけでも59.7%と約6割に達しており、調査対象職種で不足感が最も高かった。次いで「介護職員」が高く、「不足」は65.9%で、「大いに不足」「不足」の合計が34.7%だった。訪問介護員は「大いに不足」「不足」の合計が2020年度以降増加を続けており、不足感の深刻さがより増している。

採用率は増加、離職率は減少

採用率と離職率の動向では、2023年度の「訪問介護員」「介護職員」の採用率・離職率は事業所全体の平均採用率が16.9%、離職率が13.1%だった。採用率が10%未満の事業所が43.3%あり、離職率が10%未満の事業所が50.7%だった。離職率が50%以上の事業所は5.6%あった。採用率は2012年度が23.2%で、以降は減少傾向にあったが、2021年度の15.2%を底に、2022年度の16.2%、2023年度の16.9%と2年連続で対前年度比増となっている。

また、離職率も2012年度が17.0%で、以降は減少傾向にあり2022年度が14.4%で対前年度比+0.1ポイントと一時的に微増となったものの2023年度が13.1%と再び減少している。

仕事の内容・やりがいなどの満足度は高く、賃金の満足度は低い

「労働者調査」のうち、仕事の満足度について見ると、「満足」「やや満足」の合計から「不満足」「やや不満足」の合計を差し引いた満足度D.I.(Diffusion Index)が「職業生活全体」では8.5ポイントとなった。

「仕事の内容・やりがい」が38.0ポイントと最も高く、次いで「職場の人間関係・コミュニケーション」が28.7ポイント、「雇用の安定性」が21.0ポイントの順となった。

逆に、満足度D.I.が最も低いものは「賃金」で▲18.0ポイント、次いで「教育訓練・能力開発のあり方」が▲5.5ポイントだった。

関連記事

社会保険研究所ブックストアでは、診療報酬、介護保険、年金の実務に役立つ本を発売しています。