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協会けんぽの令和5年度決算を承認 準備金残高5兆円超(2024年7月25日)

全国健康保険協会(協会けんぽ)は7月25日に運営委員会を開催し、令和5年度決算を承認した。5兆円超の準備金残高が見込まれる状況に対し、委員からは複数の意見が出された。

協会けんぽの令和5年度決算(医療分)は収入11兆6,104億円、支出11兆1,442億円、収支差4,662億円となり、前年度から343億円の増加を見込んでいる。令和5年度末の準備金残高は5兆2076億円と、過去最高を更新した。

今後の財政については「団塊の世代が後期高齢者になることにより後期高齢者支援金の短期的な急増が見込まれ、その後も中長期的に高い負担額で推移する」ことを見込む。加入者の平均年齢上昇や医療の高度化等により保険給付費の継続的な増加が見込まれることもあり、「楽観を許さない状況」と分析している。

全国商工会連合会の関戸昌邦委員は、予算における国庫補助の割合が年々低下していることについて触れ、「法定準備金を超える準備金残高がある場合、新たな超過分の国庫補助等相当額を翌年度に減額する特例措置が取られているため、本来受給可能な補助金が受けられない状況が生じている」と述べた。

連合の村上陽子委員は決算資料の「中長期的な財政見通しを踏まえると、現在の準備金残高は必ずしも十分な水準とは言えない」との記載について、「次年度の保険料率はこれから議論を積み重ねていくため、中立的な表現にとどめてよかったのでは」と指摘した。


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