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UAゼンセンが国民民主に中間年薬価改定の廃止を要請(2024年6月18日)

UAゼンセンは6月18日、国民民主党と政策懇談会を開き、「中間年薬価改定の廃止を求める要請書」を提出した。「医薬品産業全体を疲弊させ、様々な歪みを生みだす要因である中間年薬価改定を廃止していただきたい」と訴え、骨太方針の策定に向けて政府への働きかけを求めている。

要請書では、「度重なる薬価引き下げに物価高騰の影響が加わるという構造的な課題を前に現場レベルで対応できる範囲は限定的であり、我が国における国民生活に必要不可欠である医薬品の安定供給さらにはイノベーション創出環境を取り戻すためには、中間年改定を廃止し安定供給基盤を再構築することが強く求められている」と指摘し、政府が示した骨太方針の原案の記載が不十分であることから、政府への働きかけなどを求めた。

その上で、「終わりの見えない供給不安に終止符を打ち、品質の高い医薬品を安定供給し続けることが可能な体制を再構築するために、またドラッグラグ・ロスを解消し、イノベーション創出力を取り戻すために、まずは、医薬品産業全体を疲弊させ、様々な歪みを生みだす要因である中間年薬価改定を廃止していただきたい」と要請している。

UAゼンセンの「中間年薬価改定の廃止を求める要請書」を受け取る国民民主党の玉木雄一郎代表ら=2024年6月18日

一方、同日の懇談会では国民民主党の議員から、ジェネリック企業の再編に向けた意見が出た。

これに対し、UAゼンセンは、「現状少量多品目生産等一部非効率な生産はあり、大きな方向性等して効率的な生産体制構築に進んでいくことには異論はない」「一方で、急激に一つの企業や工場に集約化が進んでしまうと、当該企業や工場で問題があった場合に、供給が途絶してしまうリスクが高まることとなることから、リスク分散の視点も踏まえつつ、また労働者の雇用確保にも十分配慮しながら丁寧に産業構造の見直しを進める必要がある」「そのためには、中間年改定をやめて、腰を据えて抜本的な見直しが必要である」と回答している。

中間年薬価改定の廃止を求める要請書
 
一部メーカーのGMP違反に端を発する供給不安から実に4年が経過しようとしていますが、我が国の医薬品産業は未だに「本来当たり前」でなければならない医薬品の安定供給を取り戻すことが出来ておりません。
 この間、医薬品や医療機器産業で働く労働者は、増産対応や需給調整業務に奔走するなど、それぞれの立場でやるべきことに日々取り組んできましたが、最近では、離職の増加による慢性的な人手不足がさらなる離職を引き起こすなど、生産や流通現場への負担の高まりは限界を迎えつつあります。
実際にヘルスケア産業プラットフォームが実施をした医薬品生産にかかるアンケート調査では、すべての企業が「生産部門の人員が不足している」と回答し、人員不足を引き起こしている特に深刻な要因としては「採用競争力の低下」と「離職の増加」との回答が最も多くなるなど、安定供給基盤を支える人材確保が困難になっている実態が明らかになっています。
 また、医薬品流通担当者を対象に実施をしたアンケート調査では、84.4%の方が「医薬品の供給不安に伴う需給調整業務に最も時間を割いて対応している」と回答するなど、需給調整業務に忙殺され、薬価制度の根幹である個々の医薬品の価値に基づく市場実勢価格の形成が十分に行うことが出来る環境とは大きな乖離があることも改めて示されました。
 さらに、今年度、政労使で賃上げに取り組む中、医薬関連業種については他業種と比較して低い賃上げ水準にとどまる結果となるなど、公定価格が決まっているためそもそも価格転嫁が困難である中、度重なる薬価引き下げと物価高騰の影響を受け、賃上げもままならない実態が明らかとなりました。このままではさらなる人材流出につながることが強く懸念されます。
 度重なる薬価引き下げに物価高騰の影響が加わるという構造的な課題を前に現場レベルで対応できる範囲は限定的であり、我が国における国民生活に必要不可欠である医薬品の安定供給さらにはイノベーション創出環境を取り戻すためには、中間年改定を廃止し安定供給基盤を再構築することが強く求められています。この度政府から示された骨太原案の記載は不十分であり、下記のとおり要請致しますので、政府への働きかけ等、ご対応をお願い致します。

≪要請内容≫
 
終わりの見えない供給不安に終止符を打ち、品質の高い医薬品を安定供給し続けることが可能な体制を再構築するために、またドラッグラグ・ロスを解消し、イノベーション創出力を取り戻すために、まずは、医薬品産業全体を疲弊させ、様々な歪みを生みだす要因である中間年薬価改定を廃止していただきたい。

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