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救急時医療情報閲覧機能リリースを令和6年12月に変更 開始時はマイナ保険証による本人確認のみ可能(2024年9月13日)

厚労省は9月13日、病院での救急医療時に患者の医療情報を確認する「救急時医療情報閲覧機能」のリリースを令和6年12月に延期することを医療機関等向け総合ポータルサイト等で周知した。提供開始時はマイナ保険証による本人確認での閲覧機能のみ利用可能となる。当初計画では10月からの開始を予定していたが、仕様変更による追加開発が必要となり延期した。救急時医療情報閲覧機能の導入により、意識障害などで患者の同意が取れない場合でも、救急患者の医療情報にアクセスし活用できるようになる。

「救急時医療情報閲覧機能」は、患者の生命、身体の保護のために必要な場合、マイナ保険証による本人確認を行うことによって、患者の「同意取得が困難な場合」でも、オンライン資格確認等システムを通じて、レセプト情報に基づく医療情報等が閲覧可能となる機能。

意識がある患者であっても、「患者の生命、身体の保護のために必要」と判断された場合は、個人情報保護法に基づき、患者の同意なしで医療情報を閲覧することができ、患者本人は自身の医療情報を閲覧した病院の履歴について、マイナポータルから確認が可能だ。

「救急時医療情報閲覧機能」の導入により情報が閲覧可能となるのは、救急患者を受け入れる一次救急・二次救急・三次救急病院および病院。病院以外の診療所・薬局は対象となっていない。さらに、病院管理者により電子カルテシステム機能にて「救急時閲覧権限」が付与された有資格者のみに閲覧が制限される。有資格者とは、医師、歯科医師、薬剤師および病院が選定した者となっている。照会後の救急時医療情報は、各病院における医療情報の安全情報管理措置に係る規定に従って管理する。

令和6年10月からの提供開始に向け開発を進めていたが、一部機能の仕様変更により、システムの追加開発が必要となったため、提供開始時期を令和6年12月に変更した。救急時医療情報閲覧機能ではマイナ保険証、4情報または被保険者番号による本人確認を可能としているが、追加開発にあたって仕様・設計の見直しを行っている。

導入費用の補助の予定は無し

「救急時医療情報閲覧機能」の導入により、意識障害等の同意取得困難な患者に対しても、迅速かつ適切な検査・治療等に活用できるほか、電子カルテへの入力作業が効率化され、業務負荷軽減および医療の質向上にもつながるメリットがある。また、転院搬送やかかりつけ医と連携を取る場合に、より迅速な意思決定や情報伝達が可能となる。

なお、救急時医療情報閲覧機能を導入することへの補助金は、現時点では予定されていないため、導入費用については、契約している電子カルテシステムベンダへの問合せが必要。

オン資情報に加えて「救急用サマリー」情報が閲覧可能

救急時医療情報閲覧機能で閲覧できる情報は、現行のオンライン資格確認等システムで通常表示可能な診療情報・薬剤情報に加え、患者の基本情報や医療情報等が集約された「救急用サマリー」の閲覧も可能となる。

救急用サマリーの項目と閲覧可能期間は次の通り設定されている。

  • 受診歴:3か月

  • 電子処方箋情報:45日(救急用サマリ―では電子処方箋管理サービスに登録された情報のうち調剤情報のみ閲覧可能)

  • 薬剤情報:3か月

  • 手術情報:5年

  • 診療情報:3か月

  • 透析情報:3か月

  • 健診情報:健診実施日を表示

開始当時はマイナ保険証での閲覧のみ

令和6年12月の「救急時医療情報閲覧機能」の提供開始時点では、マイナ保険証による本人確認での閲覧機能のみがリリースされる。①氏名、②生年月日、③性別、④住所または保険者名称―での4情報や、被保険者番号等情報による本人確認での閲覧機能も段階的にリリース予定となっている。リリース時期および設計変更に伴う技術仕様の変更については改めて周知される。

なお、「資格確認端末のセットアップ手順書」「資格確認端末の操作マニュアル」「運用マニュアル」「クイックガイド」の更新は、令和6年11月頃に予定されている。

マイナ救急との違いは?

救急時医療情報閲覧機能は、「病院の医療従事者等」が、「病院」において救急医療時に患者の医療等情報を確認する機能のことをいう。
一方、「マイナ救急」は、「救急隊」が「救急活動中」に傷病者の医療等情報を確認する取組みのことをいう。

令和6年5月23日から、全国の67消防本部、合計660隊の救急隊における「マイナ救急実証事業」が順次開始されている。

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