在老は廃止を含めた縮小の方向で賛成多数――第21回年金部会
厚生労働省の社会保障審議会年金部会(部会長=菊池馨実・早稲田大学理事、法学学術院教授)は11月25日、マクロ経済スライドによる基礎年金の給付調整の早期終了や、在職老齢年金制度、標準報酬月額の上限について審議した。
現役世代の負担上昇を抑え、将来の年金水準を確保するために年金額を調整するマクロ経済スライドについては、デフレ経済が続いた影響で調整期間が長期化し、将来の年金水準が低下する見込みとなっている。特に基礎年金の給付調整は、厚生年金に比べて長期化し、低所得層ほど年金額が低下する見通しになっているため、基礎年金部分と報酬比例部分の調整期間を一致させることで、年金額が賃金や物価に連動して伸びるようにする案が示された。委員からは、財政確保の方法について検討を行うように求める意見などがあったが、反対意見はなく、引き続き検討を行うこととした。
在職老齢年金制度については、高齢者の就労意欲や労働参加に影響を与えている例があるため、撤廃する案のほか、支給停止基準額を71万円あるいは62万円に引き上げる案が示された。委員からは撤廃を含む制度の縮小に賛成する意見が多数出されたため、厚労省は具体的な金額について検討を行い、次回以降の部会で報告する予定だ。
標準報酬月額の上限については、現行の65万円を上回る被保険者が全体で6.5%と高い傾向にあり、特に男性では上限等級に該当する人の割合が9.6%と最も高い状況になっている。そのため、厚労省は健康保険の等級を参考に①98万円②83万円③79万円④75万円――の4案を提示。上限を引き上げた場合の所得代替率への影響は、①が+0.5%、②が+0.4%、③が+0.3%、④が0.2%となる。委員からはおおむね賛成の意見が出され、具体的な引き上げ幅については、厚労省で引き続き検討を行うことにしている。