企業年金の加入者のための運用見える化―社保審企・個部会が議論の方針を確認
厚生労働省の社会保障審議会企業年金・個人年金部会は4月24日、政府の「資産運用立国実現プラン」に基づく企業年金の情報開示(企業年金の加入者のための運用の見える化)の拡充に向けて、追加する開示項目や開示方法などの今後の議論の方針を確認した。
確定給付企業年金(DB)、確定拠出企業年金(DC)ともに、加入者や受給者に対する情報開示はすでに制度として位置づけられているものの、他社と比較できる形での情報開示を図ることで、さらなる運用等の改善を促し、加入者・受給者の最善の利益につなげるのが目的だ。同省は、年末までに議論の詳細を詰め、部会としての結論を得る。
この日の審議の結果、確定給付企業年金(DB)については、①開示項目は毎年の事業報告書・決算報告書記載の項目をベースに運用状況や専門人材の活用にかかる取り組み状況等を追加する②厚労省がDB別に公表する③開示対象に規模要件を設定する、ことなどが確認された。
同じく確定拠出企業年金(DC)についても、①開示項目は毎年の事業主報告書・確定拠出年金運営管理機関業務報告書の報告項目をベースとする②厚生労働省が事業主・規約・運営管理機関別に公表を行う③開示は全事業所を対象とする、ことなどが確認された。
なお、開示項目に関しては、比較可能性の高い内容や加入者・受給者が真に必要とする情報を優先するよう求める意見がある一方で、個別の労働条件に基づく情報もあるため、慎重な検討を求める意見も多く見られた。
開示対象となる規模要件については、全件対象を前提としつつ、小規模DBの負担軽減の観点から、規模(加入者数もしくは資産額)の大きなDBから段階的に実施することなどが複数の委員から提案された。
一方、この日の部会に資料を提出した企業年金連合会は、運用状況の開示の目的について、加入者・受給者のために行うものであることを明確化するとともに、他の主体による目的外利用の禁止について法令上位置づけることが企業年金の普及の面で適当だと主張。こうした法令化が難しい場合は、企業年金名を非開示としたうえで情報開示を行うことも検討を求めた。