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年金財政の経済前提専門委員会が令和6年財政検証の経済前提まとめる

 社会保障審議会年金部会の年金財政における経済前提に関する専門委員会(委員長=深尾京司 独立行政法人経済産業研究所理事長・一橋大学特命教授)は4月12日、令和6年財政検証の経済前提をとりまとめた。

 経済モデルにおけるシナリオについては、内閣府が公表した2060年までの長期推計で示された「成長実現ケース」「長期安定ケース」「現状投影ケース」の3ケースに加え、労働政策研究・研修機構(JILPT)の最も低い経済成長を仮定する「1人当たりゼロ成長ケース」の4ケースを設定した。

 前回の令和元年の財政検証では6ケースを設定したが、今回は4ケースに簡素化した。その一方で、ケース設定の基軸となる全要素生産性(TFP)上昇率は前回より幅広く設定。また、シナリオの意味をわかりやすくする工夫として各ケースに名称をつけ、明確化を図った。厚生労働省では、標準的なシナリオを位置づけることなく、4つのうちの中2つの長期安定ケースと現状投影ケースの幅の中で検証していく考えだ。

 2034年度以降の長期の経済前提として、長期安定ケースでは、全要素生産性(TFP)上昇率を1.1%と仮定。物価上昇率2.0%、実質賃金上昇率1.5%、GPIFの実質運用利回り(対物価)3.2%、実質的な運用利回り(対賃金)1.7%と設定。また現状投影ケースでは、全要素生産性(TFP)上昇率を0.5%と仮定。物価上昇率0.8%、実質賃金上昇率0.5%、GPIFの実質運用利回り(対物価)2.2%、実質的な運用利回り(対賃金)1.7%と設定した。


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