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コロナ治療薬、10月からは入院医療費に含めて判断 コロナ公費支援(2023年9月28日)

厚生労働省は9月28日、「新型コロナウイルス感染症の令和5年10月以降の医療提供体制の移行及び公費支援の具体的内容について(9月15日発出)」を改正し、10月からのコロナ治療薬等への公費支援に係る疑義解釈を示した。

令和5年9月15日付け厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策本部ほか連名事務連絡「新型コロナウイルス感染症の令和5年10月以降の医療提供体制の移行及び公費支援の具体的内容について

コロナ患者に対する公費支援のうち、コロナ治療薬については、令和5年9月末までは全額公費支援であったため、患者の自己負担は発生しなかった。10月以降は、自己負担割合に応じて、1割の人は3,000円、2割の人は6,000円、3割の人は9,000円の自己負担が発生する。

この自己負担について、コロナ治療薬の「種類」による自己負担上限額に違いはなく、対象となる治療薬は、経口薬である「ラゲブリオ」「パキロビッド」「ゾコーバ」、点滴薬である「べクルリー」、中和抗体薬である「ゼビュディ」「ロナプリーブ」「エバシェルド」となっている。国が買い上げ、無償で配分している「ゼビュディ」「ロナプリーブ」「エバシェルド」については、9月末までの取扱いと同様に、引き続き、患者負担は発生しない。

入院医療費においては、令和5年9月末までは、高額療養費制度の自己負担限度額(高額療養費算定基準額)から、「原則2万円」を減額した額を自己負担上限とする措置がとられていた。10月からは、高額療養費制度の自己負担限度額からの減額幅を「原則1万円」に見直した上で、令和6年3月末まで公費支援が継続される。

入院でのコロナ治療薬は、入院医療費と合算して「高額減額措置額」に達するかどうかで判断

入院の公費支援については、初めに、コロナ治療薬を含むコロナに係る全ての医療費からみた「自己負担割合相当額」が、高額療養費制度の自己負担限度額から原則1万円を減額した額(高額減額措置額)に達するかどうかで判断される。

  1. 「高額減額措置額」に達する場合は、コロナに係る患者負担額は「高額減額措置額」が適用される。コロナ治療薬の医療費は、コロナに係る入院医療費に含まれることとなる

  2. 「高額減額措置額」に達しない場合は、「高額減額措置」は適用されず、コロナ治療薬の患者負担額についてのみ、自己負担上限額を3,000円、6,000円、9,000円とする公費支援が適用される。この場合、治療薬を除いたコロナに係る入院医療費については公費支援が適用されず、医療保険として請求することとなる

なお、上記1が適用される場合の公費負担者番号は、「28XX070X:入院補助」となり、上記2が適用される場合は「28XX080X:治療薬」となる。受給者番号に変更はない。

75歳到達月の公費支援後の上限額は、それぞれ2分の1

75歳到達月のコロナ治療薬および入院医療費の公費支援後の自己負担上限額は、到達日前後の自己負担上限額をそれぞれ2分の1として計算する。

到達日を境に自己負担割合が2割から1割に変更になる場合、コロナ治療薬については、当該月の到達日前の自己負担上限額は「3,000円」、当該月の到達日後は「1,500円」となる。

  • 投与開始日が10月11日、75歳の誕生日が10月12日の患者が、国保では2割負担、後期高齢者医療制度では1割負担の場合
    10月11日分は2割負担なので、上限6,000円の2分の1で「3,000円」、10月12日以降分は1割負担なので、上限3,000円の2分の1で「1,500円」となり、10月の自己負担上限額は合計で「4,500円」

同一月にコロナ治療薬を複数使用した場合、レセプト単位で自己負担上限額を適用

同一月に、複数のコロナ治療薬を使用した場合、その薬剤費については、レセプト単位で自己負担上限額が適用される。

  • 同一月に入院と外来で治療薬を使用した場合
    レセプトが分かれるため、それぞれで自己負担が発生

  • 同一のコロナ治療薬を月をまたいで使用した場合
    レセプトが分かれるため、月ごとに自己負担上限額を適用

  • 同一月に同一医療機関の入院で、複数のコロナ治療薬を使用した場合や、同一医療機関の外来と同一薬局で複数の治療薬が処方された場合等
    レセプトが一つになるため、自己負担上限額の適用も当該月に一回となる

公的医療保険未加入者、10月以降コロナ治療薬は全額自己負担に

生活保護単独の被保護者以外で、公的医療保険に加入していない人に対してコロナ治療薬を使用した場合、その薬剤費については、9月末までの取扱いとは異なり、全額自己負担となる。また、「高額減額措置」についても、高額療養費制度の対象でないことから、9月末までと同様に、引き続き、対象とはならない。

生活保護単独の被保護者に対して、コロナ治療薬を使用した場合には、その薬剤費については、9月末までと同様に、引き続き、全額(10割)公費支援の対象となる。なお、「高額減額措置」については、公的医療保険に加入しておらず高額療養費制度の対象でないことから、9月末までと同様に、引き続き、対象とはならない。

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