院内トリアージ相当300点は147点に減額 10月以降の診療報酬コロナ特例(2023年9月15日)
中医協は15日、持ち回りで総会を開催し、13日の総会時に示されていた10月以降の新型コロナウイルス感染症の診療報酬上の取扱いを承認した。
外来においては、受け入れ患者を限定せず、感染対策を行った上で診療することを評価している300点(B001-2-5院内トリアージ実施料の点数)は、10月以降、147点(B000特定疾患療養管理料の2「許可病床数が100床未満の病院の場合」の点数)へと半減する。上記に該当しない(受入れ患者を限定する)場合でも、現在は147点で評価しているが、10月以降は50点(A000初診料の夜間・早朝等加算の点数)へと大幅な減額となる。
また、コロナ患者への療養指導を評価している147点については終了となり、入院調整を行った場合の950点は100点へと減額される。
なお、令和5年5月8日から導入された新型コロナ罹患後症状(コロナ後遺症)に関する診療報酬の特例(+147点/3月ごとに算定可)については、当初の予定通り、令和6年3月までの時限措置となっている。
在宅については、コロナ患者(疑い含む)への往診の評価である300点が50点、緊急の往診への評価である950点が300点(介護保険施設等への緊急往診の場合は2,850点が950点)、介護保険施設等で看護職員とともに施設入所者に対するオンライン診療を評価した950点は300点へと減額される。
外来と在宅についてまとめると下表のようになる。
外来
感染予防策を講じた上でのコロナ疑い患者に対する診療
対応医療機関の枠組みを前提として、院内感染対策に加え受入患者を限定しない場合:300点⇒147点(▲153点)
「1.」に該当せず、院内感染対策を実施:147点⇒50点(▲97点)
コロナ患者へ療養指導を行った場合:147点⇒終了(▲147点)
コロナ患者の入院調整を行った場合:950点⇒100点(▲850点)
在宅
感染予防策を講じた上でのコロナ疑い患者に対する往診等:300点⇒50点(▲250点)
介護保険施設等への緊急往診:2,850点⇒950点(▲1,900点)
介護保険施設等において、看護職員とともに、施設入所者に対してオンライン診療を実施する場合:950点⇒300点(▲650点)
なお、9月15日付けで医療課事務連絡「令和5年秋以降の新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて」が発出されており、外来・在宅における現行のコロナ特例ルールとの主な変更点は以下の通りとなっている。
コロナ患者または疑い患者に対してのみ上表の外来「2.」における夜間・早朝等加算の点数(50点)を算定する医療機関は、夜間・早朝等加算の施設基準を満たしているものとみなす
上表の外来「2.」における夜間・早朝等加算の点数(50点)については、夜間・早朝等加算を算定できない病院や夜間・早朝等以外に診療を行った場合であっても算定可能
上表の外来「2.」における夜間・早朝等加算の点数(50点)は、夜間・休日等に初診を行った場合のA000初診料の注9に規定する夜間・早朝等加算と併算定可能
治療のため現に通院しているコロナ患者又は疑い患者について、必要な感染予防策を講じた上で、診療を行った場合には、再診料等を算定した場合であっても、上表の外来「1.」の点数(147点)または「2.」の点数(50点)を算定可能
また、9月15日付け事務連絡の別添5には、その他の診療報酬の取扱いについて(疑義解釈)が示されており、現行ルールとの主な違いは以下の通り。
B000特定疾患療養管理料の2「許可病床数が100床未満の病院の場合」点数(147点)の特例については、診療所または許可病床数が100床以上の病院においても算定可能
入院調整を評価する100点(B009診療情報提供料(Ⅰ)の注17に規定する療養情報提供加算の100分の200に相当する点数)について、当該医療機関が、各都道府県・保健所設置市・特別区、医療関係団体、他医療機関、あるいは外部業者等に入院調整業務を依頼した場合は算定不可
ただし、都道府県や保健所等から受入れ可能な医療機関等について情報提供を受けることは入院調整業務の依頼にはあたらない
入院における個室加算については、引き続き1日につき300点で評価、感染症対策への評価などは減額
入院においては、感染対策への評価および回復患者受入れの特例について、効率化等を踏まえ点数を減額、重症・中等症患者等の特例については、一定程度の点数の見直しが行われた。
ただし、必要時における個室管理・陰圧室管理については、引き続き評価されることとなり、A220-2二類感染症患者療養環境特別加算(個室・陰圧室)の1日につき300点・200点は減額されていない。
なお、9月15日付け事務連絡別添5の疑義解釈によると、令和5年9月30日以前より入院している患者については、当該患者の入院日にかかわらず、変更後の特例に基づいて算定することとされている。
10月以降の入院、歯科、調剤のコロナ特例の見直しについてまとめると下表の通りである。
入院
感染予防策を講じた上での診療(二類感染症患者入院診療加算1~4倍):250点~1,000点⇒125点~500点(▲125点~▲500点)
感染予防策を講じた上での疾患別リハビリテーション(二類感染症患者入院診療加算):250点⇒50点(▲200点)
二類感染症患者療養環境特別加算(個室・陰圧室)の特別算定:300点・200点⇒継続(300点・200点)
重症患者への対応(特定集中治療室管理料等の1.5倍):+2,112点~+8,159点⇒1.2倍(+845点~+3,263点)(▲1,267点~▲4,896点)
中等症等患者への対応(救急医療管理加算の2~3倍):1,900点~2,850点⇒840点~1,260点(▲1,060点~▲1,590点)
リハビリテーション・介護サービスとの連携が充実した病棟(例:地域包括ケア病棟等)による介護保険施設の入所者等の高齢患者の受入れ:+950点⇒+420点(▲530点)
回復患者の受入れ:60日目まで二類感染症患者入院診療加算750点、さらに14日目までは+950点⇒14日目まで500点(▲1,200点)
歯科
治療の延期が困難なコロナ患者に対する歯科治療の実施:298点⇒147点(▲151点)
調剤
自宅・宿泊療養患者に薬剤を配送した上での訪問による対面/電話等による服薬指導:500点/200点⇒陽性患者に薬剤を届けた上での服薬指導:訪問による対面500点/200点)
薬局におけるコロナ治療薬の交付(服薬管理指導料2倍):+59点または+45点⇒1.5倍(+30点または+23点)
診療報酬のコロナ特例は、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更に伴い、令和5年5月8日から見直され、9月末までの取扱いが決まっていた。
今回は、10月の以降のコロナ特例について、現場の実態等も踏まえつつ点数の見直しを行った。