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公的年金シミュレーターに障害年金・遺族年金の試算機能追加へ――年金広報検討会

厚生労働省の年金広報検討会(座長=上田憲一郎・帝京大学経済学部経営学科教授)は4月10日、令和6年度の年金広報の取り組みなどについて厚労省や関係団体から報告を受けた。

厚労省では、令和5年度に厚労省職員と大学生が年金について語り合う年金対話集会を行い、中高生向けの年金教育教材なども制作した。令和6年度は、これらの取り組みをより強化し、大学生向けの年金対話集会では、新たに年金制度改正と関連した意見交換などを行い、中高生に向けても対話集会を実施する予定となっている。公的年金と私的年金の一体的な広報活動については、令和5年度に大学でキャリア選択と公的年金・私的年金についてのパイロット授業を実施し、令和6年度はこれらを展開していくこととしている。

また、社会保険の適用拡大を円滑に進めるため、令和3年から開設している社会保険適用拡大特設サイトについては、今年10月に社会保険に適用される人の範囲がさらに拡大することに伴い、メディアや専門家、関係省庁などと連携した広報を行うとしている。

このほか、将来受け取れる公的年金の見込額を簡易的に試算できる公的年金シミュレーターについては、令和6年1月から在職中も年に一度、年金額が改定される在職定時改定の試算機能を追加し、厚生年金に加入しつつ老齢厚生年金を受給している65歳以上70歳未満の人の年金額の変化を試算できるようにした。令和6年度の取り組みとしては、公的年金シミュレーターの認知度やアクセス数を向上させるための周知・広報を行っていくほか、障害年金と遺族年金の試算機能を追加するための検討を進める予定となっている。

日本年金機構の令和6年度の取り組みは、多言語で説明したパンフレットなどによる外国人への制度周知や、短時間労働者への適用拡大の周知・広報などを行うことに注力する。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、公式ホームページやSNSなどでの情報発信を強化し、広報効果測定調査を年に一度実施することとしている。

委員からは、世代によって利用するメディアが異なる傾向にあることから、多様なチャネルでの情報発信を行うよう求める意見や、取り組みに対する改善課題を見つけて常に改善していくことを要請する意見などが出された。


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