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特集は高齢者の住宅と生活環境――令和6年版高齢社会白書

内閣府は6月21日、令和6年版高齢社会白書を公表した。高齢社会白書は、高齢社会対策基本法に基づいて毎年国会に提出されているもので、高齢化の状況や政府が講じた高齢社会対策の実施の状況、高齢化の状況を考慮して講じようとする施策について記載されている。
令和5年版の高齢社会白書は、①高齢化の状況②令和5年度高齢社会対策の実施の状況③令和6年度高齢社会対策――の3章構成となっている。
第1章第3節では、高齢者の住宅と生活環境について特集。内閣府では、高齢社会対策に関する各分野の調査を実施しているが、令和5年度は高齢者の住宅と生活環境の調査を行った。この調査結果と、他省庁が実施した調査データなども活用して分析を行い、特集として取りまとめた。

白書では、住宅や居住地域の満足度と幸福感の程度には強い正の相関関係があるため、良好な住宅・生活環境の整備が重要だとしている。現在の住宅の問題点については、持ち家の場合、賃貸住宅の場合と比較して住宅が広すぎることや部屋数が多すぎること、防災・防犯面で不安を感じている人の割合が特に高かった。一方、賃貸住宅の場合は、家賃等の経済的負担の大きさや、台所・浴室等の住宅設備の使いにくさを挙げた人の割合が持ち家の場合より特に多かった。こうした結果から、白書では住宅のリフォーム支援や高齢者向け住宅の供給促進など高齢者のニーズと住宅のミスマッチ解消が課題であるとしている。 

令和6年版高齢社会白書より

災害に備えている人の割合については、避難場所の事前決定やハザードマップ等防災情報の入手など備えている人が平成30年度の前回調査と比較して大幅に上昇。その一方で、一人暮らしの高齢者では「特に何もしていない」と答える人の割合が多く、対策をしている人の割合が低い結果となった。白書では、災害対策へのサポートや災害時の避難支援など一人暮らしの高齢者に配慮した対策の推進が必要だとしている。

親しい友人や仲間がたくさんいる人や、毎日人と話をする人との割合は、前回調査に比べて大きく減少。コロナ禍による影響等も踏まえつつ、望まない孤独や孤立に陥らないように対策を推進するほか、従来は家族が担ってきた日常生活などの様々なサポートなども地域や社会がどのように担っていくか検討する必要があるとしている。

地域の生活環境について重視する点については、医療・介護へのアクセスや移動・買い物の利便性を挙げる人が多く、中でも特に女性は住宅が高齢者向けに設計されていることや親しい友人・知人が近くに住んでいることを重視する人が男性に比べて多かった。他方でこれらの点を不便に感じしている人の割合も多く、地域包括ケアシステムの構築や日常生活における移動ニーズなどの充実を図る必要があるとしている。

60歳以上で住み替えの意向がある人の割合は約3割となり、住み替えの意向を持つようになった理由は、健康・体力面での不安や現在の住宅の住みづらさ、買い物や交通の不便を挙げる人が多かった。また、住み替えに向けた望ましいサポートとしては、住み替え費用の支援や物件や支援制度の情報提供などを挙げる人の割合が多く、白書では、地域の実情や高齢者の年齢や持ち家に居住しているかどうかなどの属性に応じて対応の充実が求められているとしている。


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