配偶者加給年金は将来的に縮小方向で賛成多数――第22回年金部会
厚生労働省の社会保障審議会年金部会(部会長=菊池馨実・早稲田大学理事、法学学術院教授)は12月3日、年金制度における子に係る加算や国民年金保険料の納付猶予制度について審議した。
公的年金制度では、障害基礎年金と遺族基礎年金、老齢厚生年金で子に係る加算を行っているほか、老齢厚生年金と障害厚生年金で配偶者に加給年金を加算している。子への加算は、令和6年度価格で第1子と第2子が23万4,800円なのに対し、第3子以降は7万8,300円と少ないため、厚労省は第3子以降の加算額を第1子・第2子と同額にする案と、子に係る加算額そのものを引き上げる案を示した。老齢基礎年金についても、生計を維持している18歳未満(障害等級1級または2級の状態にある場合は20歳未満)の子がいる場合は、障害基礎年金や遺族基礎年金と同様に子の加算を行う案を提示した。
また、児童手当や児童扶養手当には親と子の双方に原則国内居住要件を設けていることから、年金制度における子の加算にも、加算の対象となる子の国内居住要件を設け、受給権者である親には現行どおり国内居住要件を課さない案を示した。
老齢厚生年金と障害厚生年金の配偶者加給年金は、65歳前の配偶者が就労して報酬を得ていても、生計維持関係にある65歳未満の年下の配偶者がいれば加算される仕組みになっている。厚労省は、女性の就業率の向上に伴う共働き世帯の増加など社会状況の変化等を踏まえ、扶養する年下の配偶者がいる場合にのみ支給される加給年金について、現在の受給者に対する支給額は維持した上で、将来新たに受給権を得る人の支給額を見直す提案をした。
委員からは厚労省案におおむね賛同する意見が多かったが、子に係る加算の額については、家計の実態や給付と負担のバランスなどを踏まえて慎重に検討するべきといった指摘があった。
国民年金制度には保険料の納付猶予制度が設けられているが、制度を利用した人が10年以内に追納を行う割合は2024年時点で7.0%にとどまり、最終的に本人の老齢基礎年金の受給額につながらないケースが多く、学生納付特例制度の利用者よりも追納する人の割合は少ない結果となっている。その一方で、平成28年7月から納付猶予制度の対象年齢を30歳以上50歳未満まで拡大したことから、新たに対象となった30歳以上の人については、納付猶予を利用してから追納可能である10年間を経過しておらず、最終的な追納状況を把握することが困難となっている。このことから厚労省は、引き続き全体的な追納率を捕捉していく必要があるとし、納付猶予制度の対象年齢は現行どおりのまま令和12年6月までの時限措置を令和17年6月までの5年間に延長する案を示した。この案に対して委員からはおおむね賛成とする意見が多数出された。