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6年度改定・運営基準見直し等がパブコメへ、新複合型創設は見送りに――第234回介護給付費分科会(2023年12月4日)

厚生労働省は12月4日、第234回社会保障審議会介護給付費分科会を開催した。

令和6年度介護報酬改定に向けた議題として、【1】運営基準に関する事項【2】多床室の室料負担【3】複合型サービス(訪問介護と通所介護の組合せ)【4】その他(基準費用額等)を議題とし、議論した。


【1】施設系の協力医療機関設定や事業所の重要事項のWeb掲示が義務化へ

【1】「運営基準に関する事項」では、運営基準の改正等に関する事項案が示された。

これまでの議論において示された対応案のうち、自治体において条例改正等の手続きを要する基準関係の内容をとりまとめた内容となっている。

※上記資料は編集部にて対象サービスの記述にマーカーを付している

日本看護協会の田母神裕美委員は、概要案1.②「感染症や災害への対応」において、居住系・施設系サービスが新興感染症発生時の対応を取り決める第二種協定指定医療機関には、法的に訪問看護事業所が位置付けられていると指摘。

厚生労働省からは、病院・診療所との連携を想定しているものの、法律上訪問看護事業所を妨げるものではないことが説明された。

また、日本医師会の江澤和彦委員は、3.①「介護ロボット・ICT等の活用によるサービスの質の確保と業務負担の軽減」で示された特定施設入居者生活介護の配置職員数の緩和について、「反対する委員の方が多かった」とし慎重な検討を要望。

厚生労働省は、今回の緩和(利用者の数が3ごとに看護・介護職員合計数が0.9以上)はあくまで実証により条件が達成された事業所(生産性向上に先進的に取り組む特定施設)のみを該当としたものであり、特定施設全体に広げる趣旨ではないとして理解を求めた。

今回示された運営基準等に関する事項については、座長に一任。

必要な加筆修正等を行った後に、速やかにパブリックコメントへと進めていくことが説明され、同日のうちに開始された。

参考:「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準等の一部を改正する省令(仮称)案に関する意見募集について」

【2】介護医療院および療養型・その他型老健の多床室に室料負担を提案

【2】多床室の室料負担では、介護医療院および介護老人保健施設における対応案が示された。

介護医療院では、補足給付対象外の入所者から室料負担を求める。一方、介護老人保健施設では療養型・その他型において、補足給付対象外の入所者から室料負担を求める案となった。

これらは、介護保険法上「日常生活上の世話」を行う施設であること、実態として死亡退所が多く生活の場として選択されていることを考慮したものとなっている。

なお、室料の額に関しては、介護老人福祉施設と比べて居室の面積が狭いことなどを踏まえて検討する。

また、引き続き必要なサービスを受けられるようにする観点から、見直しの時期など必要な対応を検討することが示された。

これに対し、委員からは入所者の状態や床面積等の環境面から、反対する声が相次いだ。

日本慢性期医療協会の田中志子委員は、室料負担増に関してどのように説明したら納得いただけるか「想像もつかない」と反対を表明。精緻な調査やパブリックコメントを含めた国民からの意見聴取などが必要であると訴えた。

【3】訪問介護・通所介護の複合型サービスに今回改定での結論「さらに検討を深める」

【3】複合型サービスでは、これまで議論されてきた訪問介護や通所介護を組み合わせた新たなサービスの創設について、「さらに検討を深める」との対応案が示された。

委員からの反対はなく、実質、今回の改定における新サービスの創設は見送られたものとなっている。

新サービスに関しては、居宅サービスから地域密着型サービスに移行することになることや制度の複雑化に対する懸念、既存の通所介護事業所が訪問介護もできるよう規制緩和するべきなどの意見が挙げられてきた。

また、実際の事業所における実証的な実施調査が行われておらず、個別の要件設定や規制緩和の効果等について具体的な議論が行えていない状況となっていた。

こうした点をふまえ、より効果的かつ効率的なサービスの在り方について、実証的な事業実施とその影響分析を含めて検討するものとしたものだ。

高齢社会をよくする女性の会の石田路子委員は、この複合型サービスを考える際に、同一建物における訪問介護事業とそうでない訪問介護事業を区別して考えていくことを提案。外国人人材にとって難しいとされる訪問においても、同一建物訪問であれば可能などの意見があるとして、こうした視点も含めた検証していくことを要望した。

【4】光熱水費の負担増で基準費用額を見直し、総合マネジメント体制強化加算は存続に

【4】その他では、「基準費用額」「総合マネジメント体制強化加算について」「終末期の薬学管理(居宅療養管理指導)」「定期巡回・随時対応型訪問介護看護における訪問看護関連加算の取扱い」の4つの論点が示された。

「基準費用額」では、家計における光熱水費の負担が大きく引き上がっていることから、介護保険施設の基準費用額について利用者負担への影響を踏まえつつ、「必要な対応を検討」する対応案が示された。

平成27年度介護報酬改定のような、基準費用額の引き上げが想定される。

「総合マネジメント体制強化加算について」は、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、(看護)小規模多機能型居宅介護に関する内容。10月23日の第228回介護給付費分科会では、その算定率の高さなどから基本報酬に包括する対応案が挙げられていた。

これに関し、基本報酬への組み込みをではなく、従来通りの加算で評価する対応案が示された。

本体報酬に組み込むことにより、区分支給限度基準額との関係で他の介護サービスの利用が制限される可能性があることなどから、方針を転換した形となっている。

加算にした上で、地域包括ケアの推進と地域共生社会の実現に資する取り組みを求める新たな区分の設定や、評価の見直しが行われる見込みだ。

「終末期の薬学管理(居宅療養管理指導)」は、心不全や呼吸不全で麻薬の注射剤を使用している患者について、末期の悪性腫瘍等の患者と同様に、算定の上限回数を週に2回かつ1月に8回とするよう見直すもの。

これについては、中医協総会においても議論が実施されている。

「定期巡回・随時対応型訪問介護看護における訪問看護関連加算の取扱い」は、ターミナルケア加算・緊急時訪問看護加算・退院時共同指導加算に関して、訪問看護の対応案と同様の対応とすることを明記したものとなっている。


次回の第235回介護給付費分科会は12月11日午後に開催予定となっている。

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