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「年収の壁」超えた場合の保険料免除などを例示――第7回厚労省年金部会

厚生労働省の社会保障審議会年金部会(部会長=菊池馨実・早稲田大学理事、法学学術院教授)は9月21日、第3号被保険者制度といわゆる「年収の壁」について審議した。第3号被保険者制度については、これまで年金部会などで意見の取りまとめや議論の整理を行い、見直しの必要性があるとされてきた。今回の年金制度改正に向けた検討事項にも第3号被保険者制度について審議することが含まれ、厚労省は第3号被保険者制度導入前後の議論の内容のほか、女性の就労や第3号被保険者の状況について報告した。委員からは、第3号被保険者制度そのものを見直す方向性ではなく、被用者保険の適用拡大をさらに進めていくことで、雇用されて就労している第3号被保険者を第2号被保険者として厚生年金に加入できるようにするべきといった意見が多く出された。

パートタイムなどの短時間労働者が一定の収入を超えた場合、社会保険料や税金が天引きされて手取り収入が減少する「年収の壁」を意識して就労調整を行って手取り収入の減少を避けることがあり、希望する働き方が阻害されている点が指摘されている。具体的には、第3号被保険者が第1号被保険者に移動する際には「130万円の壁」、第2号被保険者に移動する際には「106万円の壁」が生じる。
「130万円の壁」は、企業規模要件を満たさない中小企業や個人事業所といった非適用業種で働く第3号被保険者が直面するものであることから、厚労省は被用者保険を適用する要件である企業規模要件の撤廃や、非適用業種の解消を図り、週の労働時間が20時間未満の短時間労働者に対する適用範囲の拡大を進めることを提案した。
一方、「106万円の壁」については、「手取り収入の減少をどうするか」を出発点として、壁を超えた場合には保険料負担を免除し、一定の収入を超えれば通常の保険料を負担してもらうことを対応策の例として紹介。給付については、負担免除による給付減が将来の不利益とならないよう現行どおり基礎年金(満額)に報酬比例部分をプラスして給付することが示された。この議論では、負担や給付についての公平性や、新たな壁が生じる点、年金財政への影響などの課題があり、さまざまな選択肢が考えられるため、厚労省は制度設計上の論点をまとめている。

厚生労働省資料より。

第7回年金部会資料:https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/nenkin_230921.html


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