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社会保険旬報 Web医療と介護

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#中医協

診療報酬改定の基本方針から令和6年度調剤報酬・薬価改定の方向性をイメージする(萩原雄二郎)

令和6年度診療報酬改定は、主として中央社会保険医療協議会(以下「中医協」という)で年初来、議論が続けられてきました。その議論を踏まえ、令和5年12月には診療報酬改定の「基本方針」が決定しました。同月には財務省と厚生労働省の折衝により「改定率」も決定され、基本方針と改定率にしたがって中医協は具体的な診療報酬点数の設定を2月上旬ごろに答申、3月上旬には診療報酬改定の告示・通知が発出されます。その中の薬価改定については中医協の薬価専門部会がまとめる薬価制度改革の「骨子」にしたがい、

レカネマブの薬価算定の基本的な方針を了承 薬価専門部会(2023年10月27日)

中医協の薬価専門部会・費用対効果評価専門部会は10月27日、認知症治療薬のレカネマブの薬価算定に向け議論を行った。 基本的には、通常の薬価算定と同じく、類似薬効比較方式または原価計算方式で算定し、補正加算も既存のルールに基づき算定することで概ね合意した。その上で、最適使用推進ガイドラインを作成、適用を厳しく定める。 市場拡大再算定の適用など薬価収載後のルールの適用も、状況を注視つつ、検討されることになる。介護費用への影響は引続きの検討項目となる。 次回会合で製造販売業者か

定額負担の紹介状なし患者は39.1%で4.3ポイント減(2023年10月12日)

厚労省は12日の入院・外来医療等の調査・評価分科会に、紹介状なしで受診する場合の定額負担の実績を報告した。定額負担の徴収が義務付けられているのは200床以上の特定機能病院及び地域医療支援病院。その金額は、令和4年10月から2,000円増額された。 令和4年5月1日時点での調査によれば、病院が設定する定額負担の平均金額は7,824円、中央値は7,700円であった(上表)。 前年の平均値は5,817円、中央値は5,500円なので、いずれも2,000円程度の増額となっている。

看護職員の賃金改善は月11,388円――中医協分科会に「看護職員処遇改善評価料」の実績報告(2023年10月12日)

厚生労働省は10月12日の中医協・診療報酬調査専門組織「入院・外来医療等の調査・評価分科会」に、令和4年10月に新設された看護職員処遇改善評価料の実績を報告した。一人当たり賃金改善目標額の月12,000円に対し、看護職員等への賃金改善の実績(事業主負担相当額を除く)は月額11,388円だった。 看護職員処遇改善評価料(評価料)は、地域でコロナ医療など一定の役割を担う医療機関に勤務する看護職員等を対象に、令和4年10月以降の収入を3%程度(月額平均12,000円相当)引き上げ

「中間とりまとめ」への主な意見と作業グループからの「最終報告」公表 中医協入院医療等分科会(2023年10月5日)

厚生労働省は10月5日、中医協の「入院・外来医療等の調査・評価分科会」を開催し、9月27日に同・基本問題小委および総会に報告した「中間とりまとめ」への主な意見と、「診療情報・指標等作業グループ」および「DPC/PDPS等作業グループ」からの「最終報告」を公表した。 10月5日の中医協分科会で公表された「中間とりまとめ」への主な意見は以下の通りである。 9月27日中医協(基本小委・総会)での主な意見<入院> 急性期充実体制加算の新規届出要件として地域医療構想調整会議の承認

急性期一般入院料1の看護必要度のB項目廃止をめぐり賛否 中医協入院医療等分科会(2023年10月5日)

中医協の入院・外来医療等の調査・評価分科会は10月5日、一般病棟用の「重症度、医療・看護必要度」をめぐり議論を行った。 高齢化に伴い、軽症・中等症の高齢者の救急搬送が、一般病棟で最も入院基本料が高い急性期一般入院料1で増加している。対応可能な患者は地域包括ケア病棟での受け入れを増やし、医療機関の機能分化を推進する観点から、急性期一般入院料1の看護必要度のB項目(患者の状況等)は廃止することが適切との論点に対し、賛否両論があった。 B項目は、「寝返り」や「食事摂取」が自分で

中医協基本小委が入院医療等分科会の中間とりまとめの報告受ける(2023年9月27日)

中医協の診療報酬基本問題小委員会は9月27日、入院医療等の調査・評価分科会の中間とりまとめの報告を受けた。中間とりまとめは、入院医療等分科会が、DPC/PDPSを含む入院全般から外来、横断的事項(身体的拘束、入退院支援、リハビリテーション・栄養等)にわたる幅広い事項に関し、専門的な調査・検討を行ったもの。総会における2024年度診療報酬改定に向けた本格的な議論で活用される。 中間まとめに対し、診療側・支払側から高齢者救急への対応をはじめ様々な意見が出された。 「総合入院体

医療材料の改定後ろ倒しに伴う保険適用時期を了承(2023年9月20日)

中医協の保険医療材料専門部会は20日、令和6年度診療報酬改定が6月実施になることに伴い、改定前後における保険医療材料等の保険適用時期を大筋で了承した。 現状で区分B3、C1、C2、E3は、改定年の1月に中医協総会で承認された保険医療材料等は改定年の4月に改定全体と合わせて保険適用する。また、改定年の4月と5月に中医協総会で承認された保険医療材料等については、改定年の6月に保険適用することになっている。 対応策では、改定前年の12月と改定年の1月に中医協総会で承認された保険

遺伝性網膜ジストロフィー治療薬「ルクスターナ」を約4960万円で保険適用 診断用医療機器と同時に 中医協(2023年8月23日)

中医協総会(小塩隆士会長)は8月23日、網膜の働きに関わる遺伝子の1つが変異することにより、網膜細胞機能の低下や網膜細胞の脱落が起こり、視力低下や視野狭窄が進行する疾患である「遺伝性網膜ジストロフィー」の遺伝子治療用薬で再生医療等製品である「ルクスターナ注」を、0.5mL1瓶(希釈液2本付)当たり49,600,226円で保険適用することを了承した。薬価基準収載日は8月30日(告示は8月29日)を予定している。 ルクスターナ(成分名:ボレチゲン ネパルボベク)は、ノバルティス

機能の集約化が焦点に 中医協総会が小児医療と周産期医療を議論(2023年8月2日)

中医協総会(小塩隆士会長)は2日、次期診療報酬改定に向けて、小児・周産期医療について議論した。小児医療については、集約化や家族の付き添い、往診の増加などに関する意見があがった。周産期医療についても集約化を求める意見が出された。 小児の入院患者数は、年々減少している。小児科を標榜する病院数は減少しており、2020年は2523病院(下図右)。厚労省は「特に病院小児科については集約化が進んできていると考えられる」と指摘した。 日本病院会の島弘志委員は、「小児二次、三次救急の連携

中医協の入院・外来分科会が急性期入院医療などを議論(2023年8月10日)

中医協の入院・外来医療等の調査・評価分科会は8月10日、次期診療報酬改定に向け、①急性期入院医療(その2)、②高度急性期入院医療(その1)、③地域包括ケア病棟(その2)、慢性期入院医療(その1)をテーマに議論を行った。 急性期入院医療については、「一般病棟に入院する75歳以上の患者で多い疾患のうち、誤嚥性肺炎や尿路感染症等は、急性期一般入院料1と地域一般入院料の場合とで、医療資源投入量の差が小さかった」といったデータが示され、急性期一般入院料1における軽症・中等症の高齢者入

診療報酬改定の施行時期、6月への後ろ倒しを了承 中医協総会(2023年8月2日)

中医協総会(小塩隆士会長)は8月2日、例年4月1日である診療報酬改定の施行時期を令和6(2024)年度から6月1日に後ろ倒しすることを了承した。従来は診療報酬改定の答申や告示から施行までの期間が短く、その間の医療機関やベンダの業務が逼迫したが、施行を2か月後ろ倒しにすることで負担の平準化を図る。 診療報酬改定について、政府の医療DX推進本部が決定した「医療DXの推進に関する工程表」には、令和6年度に医療機関等の各システム間の共通言語となるマスタおよびそれを活用した電子点数表

感染対策向上加算と新興感染症対応の整合性求める 中医協総会が感染症対応を議論(2023年7月26日)

中医協は7月26日の総会で、令和6年度診療報酬改定に向け感染症をテーマに議論を行った。医療計画に追加された新興感染症やそれ以外の感染症に対応できる体制、薬剤耐性対策の評価が論点となった。 改正感染症法等により、新興感染症発生時の政府による公表後の一定期間(3カ月)、「流行初期医療確保措置」が講じられる。これは流行初期に感染症医療を行う協定締結医療機関の経営を支えるため、感染症医療を行った月の診療報酬収入が、流行前の同月のそれを下回った場合に、差額を公費と医療保険で支払うもの

中医協総会が入院医療を議論 高齢者救急対応と地ケア病棟が焦点に(2023年7月5日)

中医協総会(小塩隆士会長)は7月5日、急性期から回復期、慢性期までの入院医療全般の議論を行った。令和6年度診療報酬改定に向け、中医協は第一巡目の議論を行っている。令和4年度改定の影響調査の結果も一部出たため、厚労省が一定の方向性を示す論点を明らかにし、中医協で委員の意見を求めている。 特に診療側から最も多くの発言があったのは、超高齢社会を背景に増大する高齢者救急の受け入れ先をめぐる課題への対応だった。厚労省は、高齢者救急の受け入れ先として、在宅医療からの受け皿という機能を含