マガジンのカバー画像

社会保険旬報 Web医療と介護

3,277
医療・介護の制度動向を中心に「確かな」ニュースや読み物を提供。メール会員には週1回新着記事の見出しをお届けします。
運営しているクリエイター

2023年8月の記事一覧

対象種目は固定用スロープや単点杖など、福祉用具貸与・販売選択制の方向性案が示される――第8回介護保険制度における福祉用具貸与・販売種目のあり方検討会(2023年8月28日)

厚生労働省は8月28日、第8回介護保険制度における福祉用具貸与・販売種目のあり方検討会を開催した。 主に福祉用具における「貸与と販売の選択制の導入の検討」を深めるとともに、安全な利用促進・サービスの質の向上および給付の適正化に関する対応方針案について議論した。 貸与・販売選択制の種目・種類や具体的運用案を3つの論点で示す介護保険制度における福祉用具は、制度創設より貸与を原則としつつ、一部種目について例外的に販売としており、仮に貸与種目の購入を希望する場合は保険給付の対象外

マイナ保険証登録率70%で100億円超のコスト削減に 社保審医療保険部会(2023年8月24日)

社会保障審議会医療保険部会は8月24日、マイナンバーカードと健康保険証の一体化について議論した。厚労省はデジタル庁のマイナンバーカードと健康保険証の一体化に関する検討会の最終とりまとめのほか、健康保険証の廃止に伴う削減コスト、オンライン資格確認における登録データの正確性の確保などを説明した。 マイナ保険証によるコスト削減効果の試算では、マイナ保険証の利用登録率が65~70%まで進んだ場合、従来の保険証よりも発行コスト(国保・後期高齢者医療・被用者保険の合計)が年間100億~

医療保険部会が令和6年度診療報酬改定の基本方針策定の議論をスタート(2023年8月24日)

社会保障審議会医療保険部会は8月24日、令和6年度診療報酬改定の基本方針策定の議論をスタートした。厚労省が前回令和4年度改定の基本方針を説明した後、委員による意見交換が行われた。 基本方針策定の議論は翌25日の医療部会での議論も開始され、12月には両審議会連名によって策定される見通し。 令和4年度診療報酬改定の基本方針は、 新型コロナウイルス感染症等にも対応できる効率的・効果的で 質の高い医療提供体制の構築(重点課題) 安心・安全で質の高い医療の実現のための医師等の働

救急救命士による処置の範囲の拡大を検討 救急救命処置を議論するWGが初会合(2023年8月25日)

厚労省は8月25日、救急医療の現場における医療関係職種の在り方に関する検討会ワーキンググループの初会合を開いた。 令和3年10月に改正救急救命士法が施行され、救急救命士の活動の場が広がったことを受けて、救急救命処置について専門的な議論を行うためにWGが設置された。 座長には児玉聡・京都大学文学研究科教授が就任。年度末に議論を取りまとめて、検討会に報告する予定。 次回の会合で、①国家戦略特区において超音波検査を先行的に実証すること②アナフィラキシーに対するアドレナリンの筋

遺伝性網膜ジストロフィー治療薬「ルクスターナ」を約4960万円で保険適用 診断用医療機器と同時に 中医協(2023年8月23日)

中医協総会(小塩隆士会長)は8月23日、網膜の働きに関わる遺伝子の1つが変異することにより、網膜細胞機能の低下や網膜細胞の脱落が起こり、視力低下や視野狭窄が進行する疾患である「遺伝性網膜ジストロフィー」の遺伝子治療用薬で再生医療等製品である「ルクスターナ注」を、0.5mL1瓶(希釈液2本付)当たり49,600,226円で保険適用することを了承した。薬価基準収載日は8月30日(告示は8月29日)を予定している。 ルクスターナ(成分名:ボレチゲン ネパルボベク)は、ノバルティス

機能の集約化が焦点に 中医協総会が小児医療と周産期医療を議論(2023年8月2日)

中医協総会(小塩隆士会長)は2日、次期診療報酬改定に向けて、小児・周産期医療について議論した。小児医療については、集約化や家族の付き添い、往診の増加などに関する意見があがった。周産期医療についても集約化を求める意見が出された。 小児の入院患者数は、年々減少している。小児科を標榜する病院数は減少しており、2020年は2523病院(下図右)。厚労省は「特に病院小児科については集約化が進んできていると考えられる」と指摘した。 日本病院会の島弘志委員は、「小児二次、三次救急の連携

0410対応を振り返る 進展するオンライン服薬指導(萩原雄二郎)

令和2(2020)年4月10日、厚生労働省保険局医療課は、新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての時限的・特例的な対応として、初診も含め、電話やオンラインによる診療・服薬指導等を行うことが可能である旨を都道府県衛生主管部等に事務連絡しました。 この「0410対応」は、感染症拡大に対応するためのオンライン服薬指導に関する時限的・特例措置であったことから、感染症の一応の収束を受けて、令和5(2023)年7月31日で終了となりました。今回は0410対応を振り返りながら、今後のオンラ

調剤明細書に書かれている点数とは? 調剤報酬の算定方法と『調剤報酬点数表の解釈』

病気やけがで医療機関にかかった際、医師から処方箋の交付を受けることがあります。この処方箋を薬局に持っていくと、薬剤師がさまざまな確認や管理を行ったうえで、私たちに医薬品を渡してくれます。 保険薬局がこのような「調剤」を行った場合、国民健康保険や協会けんぽ、健康保険組合といった保険者から薬局に支払われるのが『調剤報酬』です。 すでにご存じの方には繰り返しになるかもしれませんが、この記事では、調剤報酬の基本的なしくみを説明します。 コンピュータが調剤報酬を瞬時に計算してくれる

ベースアップ等による賃金改善額が全体の2/3未満なら全額返還も――介護職員等ベースアップ等支援加算に関するQ&Aが公開(8月18日)

8月18日、厚生労働省老健局老人保健課より、介護職員等ベースアップ等支援加算に関するQ&Aが発出された。 ここでは、介護職員等ベースアップ等支援加算について、「結果としてベースアップ等による賃金改善額が全体の賃金改善額の2/3以上にならなかった場合」、加算額の返還が必要であるかが問われた。 事務連絡では、利用者数の増加等により加算額が賃金改善計画で想定していた額を上回り、ベースアップ等による賃金改善額が全体の賃金改善額の2/3以上にならなかった場合について、「速やかに賃金

夏休みに辿り着く(中村秀一)

猛暑の中で今年は7月の初めから猛暑に見舞われた。私は国際医療福祉大学の大学院で教えているが、4月からの前期の15コマの講義のほか、大学院の社会人向け公開講座である「介護事業マネジメント講座」「社会保障を分析する」のそれぞれ15コマと「支援機器講座」(これは東畠弘子教授と共同の13コマ)のコーディネートを担当していたので、結構大変であった。それに頼まれて行っている新潟医療福祉大学での15コマの講義(これはオンラインではあるが)が加わったので、やっと夏休みに辿り着いたという状態で

中医協の入院・外来分科会が急性期入院医療などを議論(2023年8月10日)

中医協の入院・外来医療等の調査・評価分科会は8月10日、次期診療報酬改定に向け、①急性期入院医療(その2)、②高度急性期入院医療(その1)、③地域包括ケア病棟(その2)、慢性期入院医療(その1)をテーマに議論を行った。 急性期入院医療については、「一般病棟に入院する75歳以上の患者で多い疾患のうち、誤嚥性肺炎や尿路感染症等は、急性期一般入院料1と地域一般入院料の場合とで、医療資源投入量の差が小さかった」といったデータが示され、急性期一般入院料1における軽症・中等症の高齢者入

特定施設の医療的ケアに課題、遅れる介護DXは医療と同時の検討を――第221回介護給付費分科会(2023年8月7日)<後編>

厚生労働省は8月7日、第221回社会保障審議会介護給付費分科会を開催した。 本記事は第221回介護給付費分科会における議論の<後編>として、令和6年度介護報酬改定に向けた「特定施設入居者生活介護」および「高齢者施設と医療機関の連携強化・感染対応力の向上」、そして今後の検討の一環として実施される関係団体等へのヒアリングに関する議論について掲載する。 同日行われた議論のうち、【介護老人福祉施設】【介護老人保健施設】【介護医療院】に関する内容については「第221回介護給付費分科

介護保険3施設それぞれが担う医療的役割に注目が集まる――第221回介護給付費分科会(2023年8月7日)<前編>

厚生労働省は8月7日、第221回社会保障審議会介護給付費分科会を開催した。 今回は、令和6年度介護報酬改定に向けて、施設サービス(介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院)および特定施設入居者生活介護、そして高齢者施設と医療機関の連携強化・感染対応力の向上について議論を実施した。 また、今後の検討の一環として実施される関係団体等へのヒアリングに関し、実施要領案が示された。 本記事は、第221回介護給付費分科会における議論の<前編>として、【介護老人福祉施設】【介護

資格確認書の詳細を公表――マイナ保険証一体化検討会が最終とりまとめ デジ庁(2023年8月8日)

デジタル庁は8月8日に「第3回マイナンバーカードと健康保険証の一体化に関する検討会」を開催し、マイナンバーカードと健康保険証の一体化(マイナ保険証)および「資格確認書」についてのとりまとめを行った。 マイナンバー保険証を持たない人に保険者が交付する「資格確認書」については、今年6月2日に成立した健康保険法等の改正法により、健康保険証の廃止(2024年秋頃)に伴い導入されることとなっている。 また、8月4日の岸田首相の記者会見において、資格確認書の更新時期については、「5年