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社会保険旬報 Web医療と介護

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2023年7月の記事一覧

睡眠指針の改訂に向けた検討を開始 健康日本21(第三次)の取組みに活用(2023年7月31日)

厚労省は7月31日、健康づくりのための睡眠指針の改訂に関する検討会(座長:内村直尚・久留米大学学長)の初会合を開いた。「健康日本21(第三次)」における睡眠分野の取組みを推進するため、「健康づくりのための睡眠指針2014」を改訂する。 「健康日本21」では睡眠に関する具体的な目標項目を設定し、普及啓発に取り組んできた。一方で「健康日本21(第二次)」の最終評価(2022年)においては、「睡眠による休養を十分にとれていない者の割合の減少」は悪化傾向であることが示され、睡眠の意

HPVワクチンの理解度に関する調査結果を公表(2023年7月28日)

厚労省は令和5年1月から2月にかけて「HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンにおける理解度に関する調査」を接種対象者本人やその保護者に対して実施した。調査結果が7月28日に公表された。設問のうち〈HPVワクチンは、子宮頸がんを予防するのに有効である〉に対しては対象者本人の48%、保護者の54%が「非常にそう思う」または「そう思う」と回答した。 HPV感染症を防ぐワクチン(HPVワクチン)は、小学校6年~高校1年相当の女子を対象に定期接種が行われている。 〈子宮頸がんとい

#09 高齢者の「負担能力」は? (小竹雅子)

年末まで議論する介護保険料と利用料2024度の介護保険制度の見直しについて、2022年12月20日、社会保障審議会介護保険部会(菊池馨実・部会長 以下、部会)が『介護保険制度の見直しに関する意見』をまとめました。意見は大量にありますが、加入者(被保険者)に大きな影響を与えるのは、第1号介護保険料(以下、保険料)と利用者負担割合(以下、利用料)の引き上げです。 部会の『意見』では「Ⅱ-2.給付と負担」に、「高齢者の負担能力に応じた負担の見直し」として、①保険料負担の在り方、

8割女性・4割60歳以上の訪問介護へ負担軽減を、訪問看護では「連携」に注目――第220回介護給付費分科会(2023年7月24日)

厚生労働省は7月24日、第220回社会保障審議会介護給付費分科会を開催した。 今回は、居宅サービスの訪問系サービス(訪問介護・訪問入浴介護・訪問看護・訪問リハビリテーション・居宅療養管理指導)および居宅介護支援・介護予防支援、そして福祉用具・住宅改修について議論を実施した。 【訪問介護】「自宅訪問と併設事業所とは別」、地方での類型見直しを求める声も訪問介護事業所数については横ばいの傾向が続いており、人手不足の影響などがうかがえたが、令和3年以降は微増傾向となっている。これ

日慢協、介護報酬にアウトカム評価の導入を提案(2023年7月20日)

日本慢性期医療協会の橋本康子会長は7月20日、会見を開き、介護報酬のアウトカム評価について見解を示した。 橋本会長は、要介護3~5の利用者の3割以上が通所リハビリテーション等により改善し、介護度が軽減すると指摘。その一方で、リハビリを提供して状態を改善させ、介護度を軽くしたことで、事業者側の収益は減ってしまう現行の介護報酬の構造を問題視した。 橋本会長は「今後、少子高齢化で就労人口が減るため、寝たきりの方や要介護者増加を防止し、介護される側の人数を減らしていくことが重要だ

あはき療養費の令和6年改定の議論をスタート 距離加算廃止など6項目を提案(2023年7月14日)

社会保障審議会医療保険部会のあん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会は7月14日、あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう(あはき)療養費の令和6年改定に向けた議論をスタートした。厚労省が令和6年改定の基本的な考え方を説明。往療料の距離加算の廃止や訪問施術料の創設など6項目が示された。保険者代表の委員から料金包括化への反対意見が出た。 あはき療養費の令和4年改定は同年6月1日に施行。改定率は医科+0.26%の半分に当たる+0.13%で、「施術料・初検料・施術報告書交

中医協総会が入院医療を議論 高齢者救急対応と地ケア病棟が焦点に(2023年7月5日)

中医協総会(小塩隆士会長)は7月5日、急性期から回復期、慢性期までの入院医療全般の議論を行った。令和6年度診療報酬改定に向け、中医協は第一巡目の議論を行っている。令和4年度改定の影響調査の結果も一部出たため、厚労省が一定の方向性を示す論点を明らかにし、中医協で委員の意見を求めている。 特に診療側から最も多くの発言があったのは、超高齢社会を背景に増大する高齢者救急の受け入れ先をめぐる課題への対応だった。厚労省は、高齢者救急の受け入れ先として、在宅医療からの受け皿という機能を含

バイオ継続品や地域差がある医療等の適正化、介護連携の推進を目標に追加――第4期医療費適正化基本方針を告示(2023年7月20日)

「医療費適正化に関する施策についての基本的な方針」(医療費適正化基本方針)の見直しが、本日7月20日に告示された。 医療費適正化基本方針は、6年を1期とする都道府県医療費適正化計画を作成するに当たって即すべき事項と、その評価や医療費の調査・分析に関する基本的な事項等を定めたもの。 今回の見直しは、2024年から2029年度を計画期間とした第4期医療費適正化計画の策定に向けたものとなる。 見直しは社会保障審議会医療保険部会で議論され、医療費の更なる適正化に向けて、①新たな

3,000以上の過去記事を追加!――移行期間中のご利用について

平素より社会保険研究所「社会保険旬報 Web医療と介護」マガジンをご愛読いただき、ありがとうございます。 7月18日(火)より、前身サイトの過去記事を、当マガジンへ移行します。 これにより、2017年4月から2023年3月までのニュース記事などが、当マガジンでもご覧いただけるようになります。 予定されている追加記事は、合計で3,000以上。 2023年3月のニュースから順次公開し、10月末頃までに移行完了の予定です。 マガジンご利用に関する留意点公開される記事は、過

老健施設の利用率低下や6割が赤字など厳しい実態を報告(2023年7月11日)

東京都医師会の平川博之副会長は7月11日の会見で、老人保健施設の現状について報告した。全国老人保健施設協会(全老健)の調査結果を踏まえ、施設利用率の低下や赤字施設が6割を占めるなどの経営実態を示した上で、「超高齢社会がいよいよ本番になるにも関わらず、現状維持さえ厳しい状況である」と訴えた。平川副会長は全老健の副会長も務めている。 全老健が5月31日~6月15日に実施した老健施設の入所者の状況調査の結果(1122施設)をみると、稼働率は全体平均で86.2%となった。施設類型別

介護保険部会が給付と負担の見直しの議論を再開 利用者負担のあり方年内に結論(2023年7月10日)

社会保障審議会介護保険部会は7月10日、給付と負担の見直しの議論を半年ぶりに再開した。利用者負担や第1号保険料負担のあり方について意見を交わした。年内を目途に結論をまとめる方針だ。 介護保険部会は昨年12月に意見書をまとめ、利用者負担の「現役並み所得」「一定以上所得」の判断基準や第1号保険料負担のあり方、多床室の室料負担については今年の夏までに結論を得るべく議論するとの方向を示した。 一方、今年6月の「骨太の方針2023」では「介護保険料の上昇を抑えるため、利用者負担の一

こども家庭庁が障害児支援で初会合 児童発達支援センターを中心に支援(2023年6月28日)

こども家庭庁は6月28日、障害児支援部会(有村大士部会長)の初会合を開いた。児童福祉法に基づく児童発達支援等のサービスや医療的ケア児への支援に関して調査・審議を行う。 こども家庭庁は障害や発達に課題のある子どもたちへの支援を所管し、障害児の福祉増進や保健向上の施策を担う。このため内閣府や厚労省が担当する障害者施策とは別に、新たにこども家庭審議会に部会が設けられた。 居宅介護などの障害者・児の両方が利用するサービスは厚生労働省とこども家庭庁が共管し、18歳以上の障害者のみが

頭の上下動による脳への物理的衝撃が高血圧改善に好影響 国リハなどが「適度な運動」のメカニズムを発表(2023年7月7日)

国立障害者リハビリテーションセンター・国立循環器病研究センター・東京大学などからなる共同研究グループは、適度な運動が高血圧改善をもたらすメカニズムを発見したと公表した。運動による「頭の上下動による脳への物理的衝撃」が高血圧の改善に好影響を与えているという。発表によれば、頭部への物理的衝撃を高血圧者のヒトに適用すると高血圧が改善することを明らかにしたのは世界で初めて。 共同研究グループの発表によれば、認知症やうつ病、糖尿病、がんなど多くの加齢に関連した疾患・障害に「適度な運動

国保中央会が総会、「介護情報構築等業務」の受託を了承(2023年6月30日)

国保中央会は6月30日の総会で、新たな業務として「介護情報基盤構築等業務」の受託を了承するとともに、国保総合システム更改に伴う費用の令和6年度国庫負担補助要求の決議を採択した。 厚労省から国保中央会に対し、国においては厚労省データヘルス改革工程表や「骨太の方針2022」に基づき、介護情報基盤のシステム整備を進めるとの意向が示され、「令和8年度の運用開始に向けて構築等に関する業務を国保中央会に実施してほしい」との依頼があった。これを受け、6月の全国国保連合会総合調整会議と定期