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2023年6月の記事一覧

厚労省のオンライン資格確認利用推進本部が初会合 5つの対応策を公表(2023年6月29日)

厚労省は6月29日、オンライン資格確認利用推進本部(本部長=加藤勝信厚生労働大臣)の初会合を開いた。マイナンバー法等改正法が成立し、2024年秋から健康保険証との一体化が施行される。一方、マイナンバーカードをめぐる様々なトラブルが最近報道されている。本部のもとで取り組む対策により、マイナンバーカードを健康保険証として利用できる環境を整備する。 加藤厚労相は、冒頭挨拶で「オンライン資格確認の利用の推進に向けたスケジュールを具体化するとともに、諸課題への対応の進捗状況を一つひと

認知症GHでの看護体制など、地域密着型サービスより改定議論を開始――第218回介護給付費分科会(2023年6月28日)

厚生労働省は6月28日、第218回社会保障審議会介護給付費分科会を開催。前回示されたスケジュールのとおり、改定に向けた「主な論点」に関し、まずは地域密着型サービスを対象として議論が開始された。 議題として挙げられたのは、以下の3点。 令和6年度介護報酬改定に向けて (定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護、小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護、認知症対応型共同生活介護) 令和4年度介護従事者処遇状況等調査の結果について 令和6年度の同時報酬

ヘルスケア産業プラットフォームが6年度予算や薬価改定に向けて要請書 調整幅の縮小的見直しは「強く反対」(2023年6月28日)

医薬品・医療機器関連の労働組合で構成するヘルスケア産業プラットフォーム(篠原正人代表)は6月28日、「令和6年度予算・税制改正及び診療報酬・薬価、材料制度改定に向けた要望と提言」と題する要請書を厚労省の城克文医薬産業振興・医療情報審議官に提出した。薬価制度改革では、中間年改定の廃止や特許期間中の新薬の価格維持などを求めている。 要請書では、「我が国の医薬品産業においては、未だに安定供給を取り戻すことができておらず、大きな混乱が継続している」と指摘し、「本来当たり前であるはず

人口問題をめぐる断想(中村秀一)

50年前の入省研修で私が1973年に厚生省に入省した際、3週間の初任者研修があった。その内容はほとんど覚えていないが、人口について講義があり、講師が「人口はすべての基本」と力説したことは記憶に残った。なるほど、最初の厚生白書(1951年刊)も序章は「わが国の人口問題と社会保障」であった。 現在勤務している国際医療福祉大学では、赤坂キャンパスで公開講座「乃木坂スクール」を開設している。筆者の企画で2020年から「社会保障を分析する」という15コマのオムニバス形式のコースを設け

支払基金、令和4年度診療報酬確定金額は6%増(2023年6月27日)

社会保険診療報酬支払基金の真鍋伸子執行役は6月27日の会見で、令和4年度診療報酬の確定状況を発表した。確定金額は前年度から6%増加し、新型コロナウイルス感染症流行前の令和元年度と比較すると11%増となった。 令和4年4月から令和5年3月診療分の再審査分などを調整した後の「確定件数」は12万6219件で、前年度から11.3%増加した。新型コロナ流行前の元年度と比べても9.8%増加している。 支払基金が4年4月から5年3月診療分について医療機関に支払った「確定金額」は14兆4

全自病が令和6年度診療報酬改定で要望書、入院基本料の見直しを(2023年6月22日)

全国自治体病院協議会は6月22日、令和6年度診療報酬改定の要望書を厚労省の伊原保険局長に提出した。物価高騰・人件費上昇に対応するための入院基本料の見直しや入院時食事療養費の増額、新型コロナ感染症外来診察料・入院治療加算の新設などを盛り込んでいる。同日、小熊会長らが伊原保険局長、森光大臣官房審議官、眞鍋医療課長と面会し、要望書を手渡した。 要望書は、会員854施設に調査を行い、医師、看護、薬剤、リハビリテーション、事務、臨床検査、放射線、栄養、臨床工学の各部門から602項目の

INESがたばこを止められない人の健康被害を減らす「ハームリダクション」の研究会を設立(2023年6月22日)

新時代戦略研究所(INES)は6月22日、「国民の健康とハームリダクションを考える研究会」の設立を発表した。たばこをやめられない人の健康被害を少なくするため、紙たばこから加熱式タバコ(電子たばこ)への移行を促す「ハームリダクション」の考え方に基づき、税のあり方などについて提言を行っていく方針を示した。 INESの朝井淳太代表は、現在、加熱式たばこの税率を現行の紙巻きたばこと同率まで引き上げる案が政府で議論されていると説明した上で、「この措置は、海外で普及し始めているハームリ

中医協が外来医療をテーマに議論 対応すべき課題では診療側・支払側の間で温度差(2023年6月21日)

中医協総会(小塩隆士会長)は6月21日、2024年度診療報酬改定に向け「外来医療」をテーマに議論を行った。外来医療をめぐっては、紹介状なしで受診する場合に定額負担を求める病院に紹介受診重点医療機関が加わったことや、かかりつけ医機能の制度整備を含む改正健保法が先の通常国会で成立するなど、さまざまな動きがある。ただ、次期改定でどこまでそれらの課題に対応すべきかについては、診療側と支払側で温度差があった。 日本医師会常任理事の長島公之委員は、「かかりつけ医機能の制度整備については

#08 2024年の介護保険制度 ホームヘルプ・サービスのゆくえ(小竹雅子)

延長戦が続く訪問介護の抑制計画新型コロナウイルス感染症の波が何度も押し寄せるなか、2024度の介護保険制度の見直しをめぐり、2022年3月から社会保障審議会介護保険部会(菊池馨実・部会長 以下、部会)が検討をはじめ、12月20日、『介護保険制度の見直しに関する意見』をまとめました。 『意見』の大項目は「Ⅰ.地域包括ケアシステムの深化・推進」と「Ⅱ.介護現場の生産性向上の推進、制度の持続可能性の確保」のふたつです。中項目も「1.生活を支える介護サービス等の基盤の整備」など合

医薬品の供給不安に政府はこう対処! 迅速・安定供給への戦略と施策の方向性をさぐる(萩原雄二郎)

最新の医薬品が医療現場に供給されるのは当たり前でなくなり、必要な医薬品が届かないという問題が生じています。この医薬品供給不安(以下「供給不安」)に対し、政府はどのような原因分析を行い、どのような戦略で安定供給を目指そうとしているのか、厚労省の「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」(以下「検討会」)が令和5年6月9日に取りまとめた「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会報告書」(以下「報告書」)から紐解きます。 供給不安の背

規制改革実施計画を閣議決定、デジタルヘルスの推進へ(2023年6月16日)

政府は6月16日、規制改革実施計画を閣議決定した。医療・介護分野では、デジタルヘルスの推進や医療関係職種間のタスク・シフト/シェアなどを盛り込んだ。各実施事項に期限を定めている。 デジタルヘルスの推進では、プログラム医療機器(SaMD)の開発・市場投入の促進に向け、 臨床現場における使用を早期可能とするため、二段階承認制度を導入する方向で検討する 革新的な開発を可能とするため、保険外併用療養費制度の活用も含めた新たな仕組みを設ける方向で保険適用のあり方を検討する ――

認知症基本法が公布 認知症施策を総合的・計画的に推進(2023年6月16日)

「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」が6月16日、公布された。認知症の人が尊厳を保持しつつ希望を持って暮らすことができるよう、認知症施策を総合的かつ計画的に推進することを目的にしている。1年以内に施行される。 同法は14日の参院本会議で、全会一致で可決、成立した。議員立法の同法は各会派で協議し、衆院厚生労働委員長の三ツ林裕己氏が提出したもの。 基本理念では、「すべての認知症の人が、基本的人権を享有する個人として、自らの意思によって日常生活および社会生活を営むこと

骨太方針2023、医療DX推進の取組みについて「必要な支援を行う」と明記(2023年6月16日)

政府は6月16日、総理大臣官邸で「経済財政諮問会議」と「新しい資本主義実現会議」の合同会議を開催し、「経済財政運営と改革の基本方針2023」(骨太方針)、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2023改訂版」、「成長戦略等のフォローアップ」をとりまとめ、その後の臨時閣議で閣議決定した。 骨太方針での医療DX関連では、6月2日の医療DX推進本部で決定された「医療DXの推進に関する工程表」を念頭に、「医療DX推進本部において策定した工程表に基づき、医療DXの推進に向けた

ベア加算により介護職員の基本給等+10,060円、職種を問わず給与額は増加――「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」を了承(2023年6月16日)

厚生労働省は6月16日第37回介護給付費分科会介護事業経営調査委員会を開催。「令和4年度介護従事者処遇状況等調査の結果について」について議論された。 「介護従事者処遇状況等調査」は介護従事者の処遇の状況や、令和4年2月~9月の介護職員処遇改善支援補助金・令和4年10月からの介護職員等ベースアップ等支援加算(ベア加算)の影響等の評価を行うとともに、介護報酬改定のための基礎資料を得ることを目的として実施するもの。 介護保険施設のほか、訪問介護・(地域密着型)通所介護・通所リハ