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社会保険旬報 Web医療と介護

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2023年4月の記事一覧

日医が医薬品の安定供給に向けて「業界再編が必要」(2023年4月26日)

日本医師会の宮川政昭常任理事は4月26日の会見で、医薬品の安定供給についての現状認識と課題を発表した。医薬品の安定供給に向けて、「業界再編が必要である」と訴えるとともに、国の強いリーダーシップによる医薬品の産業構造の強化を求めた。 医薬品安定供給の問題点として、◇「製造管理・品質管理」の不徹底を端緒とした企業カバナンスの欠如◇複雑化する悪循環に陥ってきた内的要因である「共同開発」や「製造委受託の完全分離」◇「多品種少量生産」という業界特有の構造◇収益構造や産業構造◇安定供給

保険診療のしくみからHL7 FHIRなど最新動向まで解説 JAHIS編『医療情報システム入門2023』

「医療情報システム」の第一線を担うSE執筆陣による入門書本書は、医療情報システムの最新の現状分析と将来展望を示した入門書です。 日本を代表するIT企業を含む300以上の会員企業を擁するJAHIS(一般社団法人 保健医療福祉情報システム工業会)主催の講座「医療情報システム入門コース」の内容もとに作成しました。 同講座は医療情報システムに初めて携わる方々を主な対象に、JAHISの各委員会に所属する専門家を講師として、医療情報システムの全体構成から、オーダリング、電子カルテ、医

日医と警察庁がサイバーセキュリティ対策で覚書締結(2023年4月26日)

日本医師会は4月26日の会見で、同25日に警察庁サイバー警察局とサイバーセキュリティ対策について覚書を締結したことを発表した。医療機関へのサイバー攻撃発生時や未然防止における対応について緊密な連携を図る。 都道府県医師会やその会員が所属する医療機関で、サイバー攻撃などの事案が発生時における警察への相談や被害の拡大防止、医療業務の早期復旧とともに、サイバー事案の未然防止を図ることを目的とする。 サイバー事案発生時は、日医は対象機関から報告を受けた場合、都道府県医師会とその会

【オン資対応】後期高齢者の2割負担と配慮措置のしくみがわかる『医療・介護高額ガイド』

当社(社会保険研究所)は、医療・介護の負担軽減制度を徹底解説した書籍『医療・介護高額ガイド』を6年ぶりに改訂し、『医療・介護 高額ガイド 令和5年4月版』を発行しました。 医療・介護の負担軽減制度の全体を網羅医療保険・介護保険では、自己負担額が過度なものにならないようにするためのしくみが設けられています(高額療養費制度・高額介護サービス費)。 本書では、医療機関等が現物給付する高額療養費や公費負担医療との関係等について、全体的なしくみと配慮措置も含めたレセプト記載などの実

支払基金、レセ交換による差異把握で19事例の検討を開始(2023年4月25日)

社会保険診療報酬支払基金の須田俊孝理事長特任補佐(写真)は4月25日の会見で、審査結果の不合理な差異の解消に向けた取組み状況について発表した。レセプト交換による差異事例の把握状況や審査取決事項の整理状況を報告した。 支払基金は、今年1月から職員の出身都道府県と出身都道府県以外のレセプトを一部交換することによる複数都道府県のレセプト審査事務を開始。1月から3月の処理において、職員が把握した審査結果に差異がある事例は、全ブロックで計306事例となった。 306事例については、

診療報酬改定DXの対応方針案を了承 改定施行時期の後ろ倒しは今夏に決定(2023年4月6日)

厚労省の「医療DX令和ビジョン2030」推進チームは4月6日、診療報酬改定DX対応方針案を了承した(審議開始日は4月4日)。デジタル技術を最大限活用し、医療機関などの負担の極小化をめざすというゴールに向け、医療DX工程表に基づき、令和6年度から段階的に実現する。診療報酬改定の施行時期を後ろ倒しして、システム改修コストを低減することの施行時期は、中医協の議論を経て、今夏に決定する。 診療報酬改定DXでは4つのテーマを設定。▽共通算定モジュールの開発・運用▽共通算定マスタ・コー

日本総研が「価値に基づく診療報酬」の構築を提言(2023年4月20日)

日本総合研究所は4月20日、医療の価値に基づく診療報酬制を構築するなど医療保険・医療提供・財政に関する提言を発表した。①プライマリ・ケア提供体制の構築②医療の価値に基づく診療報酬制度の構築③給付と負担に関する国民的議論の活性化――の3つのテーマについて提案を行っている。 提言は医療提供に関しては、地域ごとに多職種連携によるプライマリ・ケア提供体制の構築を提案。医師一人ではプライマリ・ケアの実現は難しいとして、薬剤師や看護師、ケアマネジャー、保健師、社会福祉士など、地域の状況

令和5年度健保組合予算集計、5623億円の大幅な赤字に(2023年4月20日)

健保連は4月20日、厚労省内で会見を開き、令和5年度健康保険組合予算編成状況の早期集計結果を発表した。赤字組合は全体の約8割を占め、経常収支差引額は▲5623億円の大幅な赤字となることが分かった。 令和5年度予算の経常収支は、経常収入8兆6161億円、経常支出9兆1784億円で、▲5,623億円の赤字となる見通し。 組合数は1380組合。各組合が設定した保険料率の平均料率(単純平均)は、前年度に比べ0.01ポイント増の9.27%。収支均衡に必要な実質保険料率は0.25ポイ

令和5年度厚労省予算に見る! 薬局・薬剤師の将来像(萩原雄二郎)

令和5年度政府予算が3月28日に可決、成立しました。 この政府予算のうち、薬局・薬剤師や医薬品・医療機器等を所管する厚労省医薬・生活衛生局(以下、医薬局)の予算は89億2,300万円。 その予算は以下のⅠ~Ⅶの項目に配分されています(下図)。 Ⅰ 薬事分野のDX推進 Ⅱ 薬局・薬剤師の資質向上等 Ⅲ 革新的な医薬品・医療機器等の迅速な審査・実用化 Ⅳ 医薬品等の品質確保・安全対策の推進 Ⅴ 薬物乱用防止対策の推進 Ⅵ 血液事業の推進 Ⅶ 適切な承認審査や安全対策

~疑問点の解決に~ 医科点数表Q&A集(令和5年4月版)【4月の新刊】

当社(社会保険研究所)は2019年に発刊して大好評をいただいた「医科点数表Q&A集(2019年版)」の4年ぶりの改訂版となる「医科点数表Q&A集(令和5年4月版)」を発刊いたします。 本書は以下の章から構成されています。本稿では以下、それぞれの章の内容や特長を紹介いたします。なお、さらに詳細な目次は「ページ見本」の中でご確認いただけます。 令和5年4月からの特例措置等令和5年4月1日から、診療報酬上の特例措置等(①オンライン資格確認の導入の原則義務付けに係る経過措置、②オ

岸田首相が出産費用の保険適用、自己負担ゼロめざす(2023年4月12日)

岸田文雄首相は4月12日の衆院厚生労働委員会で、健康保険法等改正法案の質疑に対し答弁した。政府が公表したこども子育て政策の試案に盛り込まれた出産費用への保険適用や財源などについて見解を示した。 出産費用の保険適用の導入について公明の吉田久美子委員は、「保険適用になっても自己負担ゼロを実現していくべきだ」と主張。 これに対し、岸田首相は「今月から出産育児一時金を42万円から50万円に大幅に増額し平均的な標準費用を賄えるようにした。あわせて、出産費用の見える化を進めることで費

健保法等改正法案が衆院厚労委で可決、立憲・維新は反対(2023年4月12日)

衆院厚生労働委員会は4月12日、かかりつけ医機能の制度整備や出産育児一時金の費用を後期高齢者医療制度が支援することなどを盛り込んだ健康保険法等改正法案について自民・公明・国民民主の賛成多数で可決した。附帯決議はなかった。同13日の本会議で衆院を通過する見通し。 採決に際し、立憲民主、維新、共産の3党の代表は反対討論を行った。 立憲民主の中島克人委員は、かかりつけ医機能の制度整備について「単なる外来機能報告制度の拡充をかかりつけ医機能報告と言い換えた看板に偽りのある『羊頭狗

光ディスク請求は令和6年9月に終了へ 医療保険部会がロードマップを了承(2023年3月23日)

社会保障審議会医療保険部会(田辺国昭部会長)は3月23日、レセプトのオンライン請求の割合を100%に近づけていくためのロードマップ案を了承した。光ディスク等による請求は、令和6年9月に原則終了となる。 レセプト請求についてはオンライン化が進められてきたが、光ディスク等による請求は医療機関の約27%で実施されている。紙レセプトによる請求は、現在も例外的な取扱いだが、実施機関の割合は約3.5%となっている。 今年4月から、オンライン資格確認の導入が原則として義務化されるため、

こども未来戦略会議が初会合、財源の議論開始(2023年4月7日)

政府の「こども未来戦略会議」(議長=岸田文雄首相)は4月7日、初会合を開いた。出産費用の保険適用などを盛り込んだ小倉將信こども政策担当大臣のこども子育て政策の試案を踏まえ、具体的な施策の内容や予算・財源について議論していく。 同会議は、全世代型社会保障構築本部の下に設置。議長は岸田首相、副議長は後藤茂之全世代型社会保障改革担当大臣と小倉大臣が務める。加藤勝信厚労大臣を含めた関係閣僚のほか、関係審議会委員や経済団体代表、地方3団体会長、子育て当事者・関係者ら19名の有識者で構