保険診療のしくみからHL7 FHIRなど最新動向まで解説 JAHIS編『医療情報システム入門2023』
「医療情報システム」の第一線を担うSE執筆陣による入門書
本書は、医療情報システムの最新の現状分析と将来展望を示した入門書です。
日本を代表するIT企業を含む300以上の会員企業を擁するJAHIS(一般社団法人 保健医療福祉情報システム工業会)主催の講座「医療情報システム入門コース」の内容もとに作成しました。
同講座は医療情報システムに初めて携わる方々を主な対象に、JAHISの各委員会に所属する専門家を講師として、医療情報システムの全体構成から、オーダリング、電子カルテ、医事会計、地域連携などの分野別のポイントまで、政策・業務・技術動向を交えて解説しています。
本書はそんな講座「医療情報システム入門コース」の蓄積を活かし、各講師が医療情報システムの基礎知識から、以下のような業界の最新動向までを解説する一冊です。
医療DX
データヘルス改革
デジタル庁
オンライン資格確認
電子処方箋
全国医療情報プラットフォーム
PHR
HL7 FHIR
解説が必要な言葉には理解を深めるための傍注を付し、図表を活用してビジュアルに分かりやすく、ポイントを押さえた入門書となっています。
本書は次のような方々にとくにお勧めします。
システムの導入状況にかかわらずすべての医療関係の方(特に新規入職された方)
医療分野の教員・学生(大学・短大・専門学校)
システム企業で医療分野に携わる方
データヘルス計画の流れで医療情報システムの理解が必要となる保険者の方
医療情報システムの「今」を知りたい方
医療DXの推進に欠かせない標準規格「HL7 FHIR」
「医療DX」は、保健・医療・介護のさまざまな段階において発生する情報やデータを、全体最適化された基盤を通して用い、社会や生活の形を変えることと定義されています。
医療情報システムは、「医療DX」の要である医療情報を扱うシステムです。そういった意味で、本書は「医療DX」の基礎を学ぶために最適なテキストでもあります。
ここでは、本書で解説している医療情報システムの最新動向の一例として、「医療DX」の推進に欠かせない標準規格「HL7 FHIR(エイチエルセブンファイア)」をご紹介します。
「HL7 FHIR」は、米国のHL7協会が開発した医療情報交換のための新しい標準仕様です。2022年には厚生労働省における保健医療情報分野の標準規格「厚生労働省標準規格」に認定されました(HSO36~HSO39)。医療の診療記録等のデータのほか、医療関連の管理業務に関するデータ、公衆衛生に係るデータ及び研究データも含め、医療関連情報の交換を可能にするように設計されています。
「HL7 FHIR」の特徴は、簡潔でわかりやすい仕様により、多くの開発者と技術者が取り扱いやすい技術で提供されていることです。「標準として80%を決めて残りの20%を現場の多様性で吸収する」という、「80%ルール」と呼ばれる考え方が採用されており、実装も容易となっています。また、スマートフォンやタブレット端末といったスマートデバイスが考慮されており、Webアプリの実装も容易です。
これまでの標準規格の代表である「SS-MIX2」は、データの格納方式を定義していました。しかし、「HL7 FHIR」ではシステム間の連携に必要な各種規約とその実装までが連携プログラムとして定義されているため、開発者はその連携プログラムを組み込むだけで開発することが可能です。つまり、システム間で情報をやり取りする方法の標準規格となっているのです。
このように、「HL7 FHIR」は標準化技術として広く普及していくために必要な要件を備えた次世代の標準フレームワークであり、以下のようなさまざまな活用シーンが想定されています。
本書では、「HL7 FHIR」以外にも、医療情報システムの各分野における最新の技術動向を取り上げて解説しています。
医療情報システムの各分野における現場の最前線を知ることができ、「医療DX」の入門にも最適な本書をぜひご利用ください。
詳しい構成や「ページ見本」はこちらです。