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社会保険旬報 Web医療と介護

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2023年3月の記事一覧

支払基金、次期医療保険改革のシステム改修で予算計上(3月22日)

社会保険診療報酬支払基金の真鍋伸子執行役は3月22日の会見で、国会審議中の次期医療保険制度改革に伴う健康保険法等改正等の準備のためのシステム改修について説明した。令和5年度は出産育児一時金の費用負担や前期高齢者財政調整の変更などのシステム改修を行うための予算を計上している。 出産育児一時金の費用負担の変更等のシステム改修では、①後期高齢者医療制度が出産育児一時金の費用の一部を支援する仕組みの導入(令和6年4月)に伴う高齢者システム(新規に10.69億円を計上)、②出産育児

支払基金、電子処方箋サービスの運用・開発で33億円を計上(3月22日)

社会保険診療報酬支払基金の橋本敬史理事長特任補佐は3月22日の会見で、電子処方箋管理業務事業計画のポイントを説明した。令和5年度は電子処方箋管理サービスの運用や追加開発の経費として33億円を計上している。 電子処方箋管理業務事業計画のポイントを説明する橋本理事長特任補佐 支払基金は、「地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律(医療介護総合確保法)」に基づき、医療機関から電子処方箋の提供を受け、調剤を実施する薬局に提供することや、患者が処方・調剤された薬剤に関

薬価差の偏在を問題視 厚労省の医薬品有識者検討会が議論(3月17日)

厚生労働省の医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会(遠藤久夫座長)は3月17日、薬価差について議論した。厚労省は、薬局に薬価差が偏在することを論点にあげた。 厚労省は薬価差が発生する要因を①取引条件の違いから必然的に発生するものと②薬価差を得ることを目的とした値下げ交渉や販路拡大のための値下げ販売により発生するもの―の2点に整理した。 その上で、「許容される合理的な薬価差を超えて過度な薬価差が発生している場合には、適切な市場流通の確保という観点

介護給付費分科会が令和3年度報酬改定の効果検証調査の結果を了承(3月16日)

社会保障審議会介護給付費分科会は3月16日、令和3年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(令和4年度調査)の結果について了承した。 結果が取りまとめられた調査項目は次の5本。 都市部、離島や中山間地域などにおける令和3年度介護報酬改定等による措置の検証、地域の実情に応じた必要な方策、サービス提供のあり方の検討に関する調査研究事業 介護保険施設のリスクマネジメントに関する調査研究事業 介護保険施設における医療及び介護サービスの提供実態等に関する調査研究事業

腰を据えた検討が必要な「年収の壁」問題(中村秀一)

2〜3月の霞が関は、国会対応に追われる毎日である。役所を辞めて「自由」を実感したのは、空港のテレビで予算委員会の中継を見た時である。現役であれば、国会対応に張り付けになり、身動きが取れないからだ。 自民党の「変節」?今国会の冒頭の代表質問では、自民党の茂木幹事長が児童手当の所得制限の撤廃を訴え、大きな波紋を呼んだ。民主党政権で実現した子ども手当は、所得制限がなかった。それを「バラマキの典型」として口を極めて批判し、廃止に追い込んだのが自民党だったからだ。 立憲民主党から、

中医協がコロナ治療薬のゾコーバ錠の薬価算定を了承(3月8日)

中医協総会(小塩隆士会長)は3月8日、新型コロナ治療薬であるゾコーバ錠(塩野義製薬)の薬価収載を了承した。 算定薬価は125㎎1錠で7407.40円。1治療単価では5万1851.80円となる。 市場規模はピーク時(2年度)で投与患者数が37万人、販売金額が192億円と予測。予測を超えて販売金額が増えた場合に薬価を下げる仕組みである市場拡大再算定については、3千億円を超えた場合に薬価を3分の1にまで引き下げる措置を新たに用意した。 3月15日の収載を予定している。 ゾコ

国立健康危機管理研究機構法案を閣議決定 日本版CDC設立めざす(3月7日)

政府は3月7日、「国立健康危機管理研究機構法案」を閣議決定した。今国会に提出し、いわゆる「日本版CDC」の設立をめざす。 政府は次の感染症危機に備え、感染症対応能力を強化するための感染症等に関する新たな専門家組織として、いわゆる日本版CDCの創設をめざしている。 法案が成立すれば、国立感染症研究所と国立国際医療研究センターを統合し、感染症に関する科学的知見の基盤・拠点となる新たな組織とする。組織の名称は「国立健康危機管理研究機構」となる。 同機構は厚生労働大臣の監

令和4年度の光熱費・医療材料費で330億円の負担増に 国立大病院(3月3日)

国立大学病院長会議の横手会長は、3月3日の会見で①新型コロナの5類への移行②物価・光熱費高騰の影響③医師の働き方改革——について見解を示した。 新型コロナの5類移行については、「2類から5類に移行しても医療機関はゼロコロナを継続していくため、診療提供体制は変えられない。大学病院が安心して医療の提供を行える引き続きの財政的支援をお願いしたい」と要望した。 物価・光熱費高騰の影響について、令和4年度の光熱費・医療材料費だけで約330億円の負担増になっており、コロナ禍前の令

国立大病院、JCHO、都立病院機構が共同調達事業(3月3日)

国立大学病院長会議は3月3日の会見で、令和5年度から地域医療機能推進機構(JCHO)と東京都立病院機構の3団体による医療材料など共同調達事業を開始することを発表した。同日、3団体の代表が合意文書に調印した。 国立大学病院長会議は平成28年度から共同調達事業を実施。医療材料はニトリル手袋や吸引カテーテル、ペースメーカーなど感染防護用品他、医療機器は心電計、ベッド、除細動器、AED、フットポンプなど少額機器を共同で調達してきた。令和4年度までの7年間で、約19億円の経費削減に

支払基金の5年度事業計画「新生支払基金の本格稼働へ」(3月1日)

社会保険診療報酬支払基金は3月1日の会見で、令和5年度事業計画案を発表した。事業計画の基本方針において、令和5年度は「新生支払基金の本格稼働とその基盤充実の年」「データヘルスの基盤充実の年」と位置づけ、審査結果の不合理な差異解消の取り組みの本格化、オンライン資格確認の原則義務化への対応をかかげている。 5年度事業計画について須田俊孝理事長特任補佐は、「昨年10月から新組織がスタートして半年経って、いよいよ新年度から本格稼働し、さまざまな組織の基盤を充実していくために検討を

日医会長、コロナ類型変更後の発熱外来の維持・充実へ協力要請(3月1日)

日本医師会の松本吉郎会長は3月1日の会見で、新型コロナウイルスの5類移行に向けた医療提供体制の確保について見解を示した。全国の都道府県医師会長と郡市区医師会長に対し、類型変更後の発熱外来診療体制の維持・充実に向けて協力要請したことを明かした。 2月28日付けで発出した協力要請の通知では、類型の変更後は新規感染者数が過去の感染拡大を大幅に超える事態も想定され、現在のおよそ4万2000診療所・病院による発熱外来診療体制を維持しつつ、コロナ対応していない医療機関の参画による体制

令和5年度計画書・令和4年度報告書等の届出を簡素化 処遇改善加算の事務処理手順を通知(3月1日)

厚生労働省は3月1日、介護職員処遇改善加算、介護職員等特定処遇改善加算および介護職員等ベースアップ等支援加算に関する事務処理手順通知を見直す通知を発出した。計画書・実績報告書の簡素化を行い、事務負担軽減を図る。 この見直しは、1月16日の介護給付費分科会において了承された修正案が反映されたものであり、令和4年度の実績報告までを規定する令和4年6月通知の改正(下記①)と、令和5年度以降の取扱いを示す通知(下記②)の2つが示された。 ①「介護職員処遇改善加算、介護職員等特

第9期基本指針の見直し・被保険者証の電子化等について議論開始――介護保険部会(2月27日)

厚労省は2月27日、第106回社会保障審議会介護保険部会を開催し、第9期介護保険事業計画の作成に向けた、基本指針の見直し等に関して議論した。 議題は以下のとおりとなっている。 基本指針について 介護保険被保険者証について 令和5年度介護給付金の算定について(報告) 総合事業の充実に向けた検討会(仮称)の設置について(報告) [議題1①]第9期計画策定に向け、記載を充実する事項を3つに分類1つ目の議題では、基本指針について議論した。 基本指針とは、「地域における医