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新しい年金時代

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2023年4月の記事一覧

年金・税金 わたしの相談事例 公開します-シーズン2|#1 雇用保険と退職後の賞与

雇用保険料率の変更 今回このテーマを取り上げるきっかけになったのは、知人のNさんから昨年12月にいただいたこんな質問です。 「私は9月30日に定年退職し、その後12月9日に最後の賞与の支給があったのですが、雇用保険料が天引きされていました。これっておかしくないですか?」 回答は、「間違いではありません。たとえ退職後でも、在職中の労働の対償として支給される賞与は雇用保険料の算定対象になります」です。 Nさんにそう答えた後で、次の2つの疑問が湧きました。 「雇用保険の料

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年金額が変わったときの4つの通知書

老齢年金の受給に際しては、まず、日本年金機構から「年金証書・年金決定通知書」が送付されます。 その後、受給している年金額に変更があった場合、「年金額改定通知書」や「年金決定通知書・支給額変更通知書」が送付されます。また、過去にさかのぼって年金額に変更があったときには「年金支払通知書」が送付されます。こうした年金額の変更に伴い、年金振込額が変わるときには「年金振込通知書」が送付されます。 「年金額改定通知書」「年金決定通知書・支給額変更通知書」「年金支払通知書」「年金振込通知

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遺族年金のしくみと手続~詳細版|#22 当事者の一方が昏睡状態の場合の婚姻届と遺族年金

今回は一見すると、同居している戸籍上の夫婦の夫が交通事故で死亡したケースです。ところが、婚姻届けは、夫が交通事故に遭い、昏睡状態のときに妻が提出していました。夫は会社員で厚生年金被保険者でした。妻に遺族厚生年金は支給されるでしょうか。 厚生年金被保険者が死亡した場合 厚生年金被保険者であったA夫さんが令和5年1月15日に交通事故で死亡されたとのことで、妻のA子さんが令和5年2月10日に遺族厚生年金の手続きに来所されました。 「厚生年金被保険者が死亡したとき」は、遺族厚生年

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事例でみる障害年金請求の勘所|#18 心疾患の障害等級認定について

 障害等級の認定は、提出した診断書の審査を経ないとわからないものですが、人工透析(2級以上)や人工関節挿入(3級以上)等の場合は、審査を経ないでもある程度の障害等級がわかります。  特に、心疾患は事前に障害等級がわかる事例が多いのが特徴です。  これらに該当した場合は、初診日から1年6カ月を経過しなくとも、障害認定日をむかえるため、注意が必要となります。  しかし、図1の該当事例を見ても分かる通り、馴染みのない医療用語が多く、何をどのように処置したか、相談者が正確に説明でき

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#20 公的年金と制度の分立

 公的年金には強制加入という基本原則がある。公的年金の目的は、老齢、死亡、障害による所得の喪失という人生における経済リスクに遭遇した人に給付を行うことによって、この人が困窮化しないようにすることである。また、強制加入の原則は、その給付を社会全体で支えるという考え方に由来している。   このような社会保険の仕組みが各国で導入されているのは、産業革命以来、都市部で発生した個人の責任によらない貧困問題を解決するために行われた試みのうち、自由市場を基本とする経済体制下でビスマルクが

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#1 次期年金制度改正の課題を考える①

キャリーオーバー方式導入の平成28年年金改革法の成立過程を振り返る意味権丈:この対談を始める前に、年金時代編集部に確認しておきたいことがあります。本日の対談のテーマは「次期年金制度改正の課題」とうかがっています。しかも、前回平成26年財政検証結果のオプションⅠ、つまり「マクロ経済スライドの仕組みの見直し」を対談の中心テーマにしたいとのこと(資料①)。オプション試算にはⅠのほかに、Ⅱの「被用者保険の更なる適用拡大」、Ⅲの「保険料拠出期間と受給開始年齢の選択制」がありますが、マク

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#2 労働者協同組合の基本原理⑵組合員が出資

労働者協同組合法は本則が137条、附則が34条から構成されていますが、その条文中に頻出する単語としては「組合」が600回以上と一番多く、次に「労働」が120回程度と続きます。労働者協同組合に関する法律ですので、この2つが多いのは頷けますが、その後に続くのが「出資」で80回程度登場します。例えば「協同」は30回程度ですので、それと比較すると「出資」の登場回数が多く、いかに重要なキーワードであるかがわかります。 事業に対し意見も言うし、出資もする出資に関して、立法時の趣旨を、国

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#1 労働者協同組合の基本原理⑴組合員の意見の適切な反映

労働者協同組合は、法律第3条において次の3つを基本原理としています。 ⑴組合員が出資すること。 ⑵その事業を行うに当たり組合員の意見が適切に反映されること。 ⑶組合員が組合の行う事業に従事すること。 つまり、組合員一人ひとりが、株式会社でいうところの株主(出資者)であり経営者であり労働者でもある、という三位一体の制度(下図参照)となっています。 労働者協同組合では、会社の指示で働くのではなく、組合に参画する全ての人が出資をして組合員となり、主体的に働くこととなります。

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#2 経産省若手役人の提言「不安な個人、立ちすくむ国家」を読んでみた

日本の友人からコメントを求められ…何人かの日本の友人から、最近日本でネットを中心に話題になっているという経産省の若手の方々がとりまとめた報告書についてのコメントを求められました。 恥ずかしながらその報告書のことは知らなかったので、早速経産省のホームページに行き、「不安な個人、立ちすくむ国家」という件の資料を読みました。 五神真東大総長や松岡正剛編集工学研究所所長をはじめ、大沢真幸元京大教授、田中優子法大学長、藤原帰一東大教授(私の中高の同級生です)など、産業界のみならず幅

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#1 Web版年金時代スタートに寄せて

年金時代編集部からWeb版への連載依頼を受けた昨年冬、長らくお世話になってきた「年金時代」の編集部の方から、新たにweb版としてスタートを切る同誌に連載を願いしたい、という依頼を受けました。 夏に晴れて厚生労働省を退官して、学生時代以来の自由の身を楽しんでいたところだったし、役人を辞めて気分もかなりユルんで(笑)きていたので、そうでなくても難しくて硬い年金の話を連載で書くなんて、私にはもう無理です、と一旦は丁重にご辞退申し上げました。編集部からは「お気持ちは解りますがそこを

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