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年金時代

年金実務に携わる皆さまに、公的年金等を中心とした制度改正の動向や実務情報をお届けします。
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#数理の目レトロスペクティブ

数理の目レトロスペクティブ|#14 厚生年金の財政運営の特色

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数理の目レトロスペクティブ|#13 続・定義の大切さ

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数理の目レトロスぺクティブ|#5 給付水準の下限

 平成16年改正では、給付水準の下限の規定が設けられた。マクロ経済スライドにより徐々に給付水準を下げていくことにより財政均衡を図る仕組みが導入されたが、財政の均衡のためにはどこまでも給付水準を下げていいというものではない。老齢・障害・遺族という人生における経済リスクに遭遇した人々が困窮化しないだけの給付を行わなければ、公的年金制度の存在意義そのものが失われてしまう。そこで給付水準に下限を設け、これ以上マクロ経済スライドを続けると次期財政検証時までに給付水準がこの下限を下回る見

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数理の目レトロスペクティブ|#4 世代間の公平性という議論

 平成16年改正のときの論点のひとつに「世代間の公平性」があった。少子高齢化の進展のもと、給付水準が抑制され保険料が引き上げられていく中で、現在の若齢世代は支払った保険料に見合う給付を受け取れないかもしれない、という素朴な感情が、この議論を引き起こしたと考えられる。現在〈2007年〉の厚生年金の保険料率は15%弱であるが、2017年からは18.3%になる。一方で給付水準は徐々に削減され、現在〈2007年〉よりは2割弱低くなる見通しであることから、支払った保険料に見合う給付を受

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数理の目レトロスペクティブ|#3 財政を健全に保つには

 前回からのマクロ経済スライドに関わる話を続けよう。「#2和算と洋算」で、ドイツの2004年改正において導入された持続可能係数によるスライド調整は、マクロ経済スライドに酷似していることに触れたが、この意味で非常に親しみが湧く考え方である。更に導き方が演繹的でいかにもドイツらしい感があることにも触れた。  マクロ経済スライドも持続可能係数も、1990年代に行われたスウェーデンの年金制度改革からヒントを得たものである。スウェーデンも人口の高齢化に伴う公的年金制度の持続可能性の問

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数理の目レトロスペクティブ|#2 和算と洋算

 平成16年の年金改革はマクロ経済スライドの導入で特徴付けられる。同じ年、ドイツでも年金改革が行われ、マクロ経済スライドと酷似したスライド調整措置が導入された。今回はこの点を眺めてみたいと思う。  わが国の改革では、少子高齢化が限りなく進行するので、どこまでも保険料が上がり続けるのではないかという不安を払拭することがテーマのひとつだった。このため、例えば厚生年金の場合、保険料率を毎年少しずつ引上げ、平成29年以降は18.3%で固定することを法定した。しかしこの措置だけでは年

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数理の目レトロスペクティブ|#1 社会現象と数学現象

 年金時代編集部から「数理の目」というテーマで連載文を書いてみないかというお誘いを受けた時、光栄なことと引き受けてしまった。しかし、後から考えてみると大変なことを引き受けてしまったと大いに緊張した日々を送ることになった。「数理的なテーマを随想風に書いて欲しい」というのが編集部のご下命であるが、自分が思う内容が果たして相応しいものか、また、対象をしっかりと表現できるかと自問自答してみると緊張感が増幅するのである。そんな心もとない船出ではあるが、精一杯努めさせていただくことで、読

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