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年金時代(無料版)

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年金・雇用労働関連のニュースや連載記事を掲載している無料マガジンです。
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#時々刻々

マニュアルシートを使って相談・説明を効率よく、効果的に!

令和6年度版「年金マニュアルシート」「障害年金マニュアルシート」「遺族年金マニュアルシート」(社会保険研究所から令和6年3月発売)は、年金業務に携わる実務者の方が、これから年金を受給する方に対して、制度や年金の受け取り方、請求手続などを効率よく、効果的に説明するためのシートです。限られた時間でお客様がお求めになっている疑問や不安に確実にお応えするためのツールとして、お使いください。 年金マニュアルシート目次(年金マニュアルシートの掲載内容) 1   何年加入したら受けられる

#16 AIは、当面、再分配政策支援に活用を制限したらどうか

 AIを使って、長時間労働が問題となっている教員の事務作業を削減していくという。この場合、AIが教員に代わって、教員の仕事をとってしまうというわけではない。人に代わってAIが仕事をする場合、普通いままで、その仕事をしていた人は、仕事を奪われ、それでも引き続き働かなければ生活できないから、ほかの仕事を見つけて、転職するなどしなければならない。しかし、教員事務をAIが代わってやるといっても、この場合は、長時間労働の是正が目的だから、働き方改革の方向で、AIが活用されることになる。

#15 労働者協同組合は究極の働き方改革と言えるのではないか

 労働者協同組合の組合員の賃金は、どう決められるのだろうかと考えた。  労働者協同組合の組合員は、労働者協同組合と労働契約を締結するから、最低賃金は保障されるはずだ。また、労働者協同組合は、「地域における多様な需要に応じた事業」(労働者協同組合法第一条)を行い、組合は「営利を目的としてその事業を行ってはならない」(同法第三条第三項)とも法律で規定されているから、需要に応じて提供される生産物やサービスは、「商品」という性格よりも、公共財や公共サービスに近い性格ではないかと考え

#14 AIは「神」になってしまうのか

 AIが、ひとがやっている仕事の多くを、ひとに代わってやってくれるようになるという。私の代わりに、AIが原稿を書いてくれたら、楽だし、編集部の人手不足も解消できるんだがなあ。そんなことを考えていたら、「グーグルが記事作成AI 報道機関向け開発」という記事が新聞に載っていた(日本経済新聞2023年7月21日(夕刊))。とはいえ、その記事にあったが、報道機関は記事作成AIの導入には慎重のようだ。 「AIに仕事を奪われる職業」って何ですか、とAI(Google検索)に聞いてみた。

時々刻々|#13 「持続可能」という思想

持続可能な社会とか、国連の持続可能な開発目標(SEGs)とか、「持続可能」という言葉には、いまあるあり方が絶えることなく、あり続けることができる、という意味と、そのいっぽうで、継続性が可能になるよう中身や内容、しくみや制度を変えていくという意味も含んでいるように思う。とは言え、いまあるあり方が変わっていくなかで、そこに属するひとたちの間に、対立や分断が生じないような変わり方を指向しているように感じる。 国連「持続可能な開発目標(SEGs)」は、「『誰一人取り残さない』持続可

時々刻々|#12 被用者保険の適用拡大のずっと先を考える――新しい資本主義の社会保障から新しい社会の生活保障へ

 被用者保険(厚生年金・健康保険)への加入対象者の範囲を広げる、いわゆる適用拡大ですが、ことし令和4年10月から従業員数101人以上の企業、令和6年10月からは従業員数51人以上の企業に勤めるパートやアルバイトの方々が、被用者保険の適用の対象となります。  一方、政府の全世代型社会保障構築会議では、勤労者皆保険の実現を考えていて、従業員数によるしばり(企業規模要件)の撤廃や被用者保険の適用除外とされてきた非適用業種の見直しなども検討していくとのことです。さらにフリーランスや、

時々刻々|#11 安倍元首相の死と憲法改正を考える

年金時代編集長  安倍元首相が7月8日、銃で撃たれ、亡くなりました。 参院選最終日の10日、再開された街頭演説は、「暴力による言論への攻撃を非難、民主主義を守る」という訴えに一転。結果、自民党が大勝しました。そのことは、憲法改正に必要な勢力を維持することにもなりました。  正直、わたしはこれまで憲法改正論議を身近に感じてこなかった人間でしたが、今回のショッキングな事件を映像を通してですが、目の当たりにして、憲法改正ということについて、一気に、わたしなりに答えが出たような心

時々刻々|#10 「いい人」と「人がいい人」とでは「人がいい人」のほうが善良な人だと素直に思いたい

 「いい人」を手元の『広辞苑』(第五版)で引くと、「いい-ひと【好い人】①善良な人。ときに、好人物。②情人。恋人。」とあった。わたしがここで言っている「いい人」はもちろん①のほうだ。一方、わたしは国語学者ではないので、正確な理解ではないかもしれないが、「人がいい人」というのは、「あまりに善良すぎて、人にあなどられやすいこと。また、そのような人物。好人物。「根っからの―」「―につけこまれる」」と同じ広辞苑で説明している「おひと-よし【御人好し】」という言葉とほぼ同義だと思う。

時々刻々|#9 幸せってなんだっけ?(続き)

 いまさらですが、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。 さて、前回(2021年9月24日掲載)、「次回に続くと」と言って、年が明けてしまいましたが、「幸せってなんだっけ?」の続きです。 「自殺」ということから、「幸せ」を考えてみたいと思います。自らの命を絶つからには、自死された多くの方々が、「幸せでない」状況下にあったということでしょう。  厚生労働省の『令和3年版自殺対策白書』(以下、『白書』。)によると、日本における自殺者数は、平成22年以降10年

時々刻々|#7 本来的に、人は自分のために働いているのではないのか

本来的に、人は生きるために働く。なかには、働くことが楽しくて生きている、働けないのだったら、死んだほうがましだ、という人もいるかもしれないが、楽しいと感じるほどの働き方をしている人は、働くことに満足し、自己実現と言っていいのか、働くことのすばらしさ、尊さを実感しているわけで、このこと自体は否定されることではないし、労働とは本来的に尊いものなのだという思いに至る。そうしたことから、生きていくためにしろ、自己実現にしろ、自分のために働くということが、労働の本質だと思う。 ところ

時々刻々|#6 新しい社会と社会保障――『年金時代』の社会の見方について

新型コロナウイルス感染症と折り合いをつけたウィズコロナに向けて、社会(世界)はどう変わろうとしているのでしょうか、あるいはどう変えていくことが求められているのでしょうか。 これまで『年金時代』では、年金制度を中心に国の社会保障を取り扱ってきました。そして、持続可能な社会保障のあり方について考えてきました。『年金時代』に連載企画(「謎の新興国アゼルバイジャンから」)を執筆いただいていた香取照幸さんは、その著書『民主主義のための社会保障』(東洋経済新報社、2021年)において、

時々刻々|#5 新常態の社会を支える理念について

前回の「時々刻々」(2020年5月8日公開)では、「次回、アフター・コロナの社会や国がよりどころとする原理や主義ということについて、考えてみたいと思います(あまり間が空かないように、次回公開します。)」としましたが、このていたらくです。ぐずぐずしているうちに、世の中どんどん進んでいってしまいました。しかも、世の中の基本的なしくみとか、あり様が大きく変わるときって特にそうなんですが、たとえば「革命」なんかの状況もそうですが、すごく世の中の動きが速いんですね。 そんなわけで、「

時々刻々|#4 新型コロナウイルスを超えて

『時々刻々』の案内文に「年金時代編集長が年金についてマジメに語る」などと紹介されてしまったものですから、もともと文章を書くのが好きでもなく、どうも構えてしまいまして、せっかくコーナーを作ってもらったんですが、開店休業状態が続き、申し訳ありません。 新型コロナウイルスの感染拡大に世の中が震撼し、国会では年金改正法案(これは「年金時代」としては文章を書くのが好きとか嫌いとかに関係なく、書かなきゃならないテーマなんだと自覚しています。)の審議が始まりましたから、第4回「時々刻々」

時々刻々|#3 被用者であれば社会保険に適用されるべきだと思う

わたしには母がいるのですが、一人暮らしをしていましたが、要介護状態(要介護5)となり、いまは特別養護老人ホームに入所しています。母は、公的年金を受給していますが、年金で介護保険による自己負担分(1割)を賄っています。 おかげで、わたしが介護離職することもなく、また、母の介護費用を負担することもなく、母は生活しています。ときどき、病院に行くときなどは、家族(かみさんも協力してくれます。)が連れて行かなければならないので、わたしが会社を休んで、母を病院に連れて行ったりすることは