見出し画像

令和6年度平均保険料率は現行の10%を維持 協会けんぽ(2023年12月20日)

全国健康保険協会(協会けんぽ)は12月20日の運営委員会で、令和6年度平均保険料率についてとりまとめの議論を行い、現行の10%を維持することを決定した。

協会けんぽの令和4年度決算における収支差は4,319億円の黒字で(下図)、前年度比1,328億円の増加。しかし今後の財政については、医療費の伸びが賃金の伸びを上回る赤字構造が解消されていないことから、楽観を許さない状況だとしている。

協会けんぽの財政構造(2022年度決算)
出所:第127回全国健康保険協会運営委員会(2023年12月20日)資料

加えて▽被保険者数の伸びの鈍化、▽後期高齢者支援金の増加見込み、▽財政状況が悪化した健保組合の協会けんぽへの移行が予想されること―などを懸念材料として挙げている。

これらの状況を踏まえ今後5年における財政状況のシミュレーションを行ったところ、平均保険料率10%を維持した場合でも、数年後には準備金を取り崩さなければならない見通しだと報告した。

なお、令和6年度都道府県単位保料率は次回に決定する。

持続可能性確保のため努力が必要

東洋ドライルーブ代表取締役の飯野光彦委員は「令和6年度平均保険料率について、現状の10%を維持することに異論はない」と発言。一方で「保健料率上昇、保険料負担増加を回避しつつ、財政の持続可能性を確保するため給付費の抑制を図る努力を続けることが必要」と述べた。

協会が行っている施策の広報を

全国社会保険労務士会連合会元理事の小磯優子委員は「総合的に考えて現行の10%維持を支持する。今年の春に賃上げがあり来年の春にも予定されている。保険料率が現行の維持でも賃上げで保険料額は上がる。それに応じて様々な施策を協会けんぽが行っていることの広報をお願いしたい」と述べた。

中小事業者は「少しでも下げてほしい」

全国商工会連合会相談役の関戸昌邦委員は「平均保険料率10%の維持は現在の社会保障を取り巻く状況から、やむを得ないと考える。だが中小小規模事業者は大変厳しい経営状況に置かれている。少しでも保険料率を下げてほしいという声が大多数を占めていることは理解いただきたい」と発言した。
更に協会けんぽの被保険者の伸びの鈍化、健保組合の約8割が赤字であることに触れ、「世界に誇る国民皆保険の危機と言わざるを得ない。現在の国民皆保険を守っていくために、この危機的状況を出来るだけ多くの方に知っていただく必要がある」と述べた。


みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!

社会保険研究所ブックストアでは、診療報酬、介護保険、年金の実務に役立つ本を発売しています。