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社会保障給付費が初めて減少 コロナ対策関係費減少により――2022年度社会保障費用統計(2024年7月30日)

国立社会保障・人口問題研究所は7月30日、2022年度社会保障費用統計の概要を公表した。社会保障給付費は2020年度、2021年度に増加した新型コロナ対策関係費が減少に転じた結果、前年度から減少した。社会保障給付費が前年度と比べて減少したのは、1950年に統計を取り始めて以降、初めてのこと。

社会保障給付費(ILO基準)の総額は137兆8337億円で、新型コロナウイルス感染症対策関係費の減少から前年度と比べて▲9189億円、▲0.7%の減少となった。対GDP比は24.33%で対前年度比▲0.73ポイント減少。1人当たり社会保障給付費は110万3100円で、前年度と比べ▲2400円、▲0.2%の減少だった。

社会保障給付費に施設設備費等を含めた社会支出(OECD基準)は142兆3215億円で、前年度に比べ▲6683億円、▲0.5%の減少。対GDP比は25.12%で、前年度に比べ▲0.70%ポイント減少した。1人当たり社会支出は113万9100円で、対前年度比で▲300円、▲0.03%の減少となった。

部門別社会保障給付費の年次推移
出典:「令和4(2022)年度 社会保障費⽤統計の概要」(国立社会保障・人口問題研究所)

長期的動向に変化は見られず

社会保障給付費(ILO基準)、施設整備費や管理費などに充てられる社会保障財源(ILO基準)は、152兆9922億円で▲10兆3986億円、▲6.4%の減少となった。

諸外国の社会支出を対GDP比でみると、2020年度時点で日本(25.30%)はフランス(34.88%)、アメリカ(29.67%)、ドイツ(28.44%)と比較すると小さくなっている。

国立社会保障・人口問題研究所の担当者は、「新型コロナ対策関係費は約3.5兆円の減少に対し、社会保障給付費の減少は1兆円に満たない」と述べ、高齢化に伴う社会保障給付費が伸びる長期的な動向に変化はないとした。

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