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医療保険部会が入院時食事療養費の見直しを議論「引き上げに反対意見なし」(2023年11月9日)

社会保障審議会の医療保険部会は11月9日、入院時の食事について議論した。入院時の食事では食材費等の高騰を踏まえ、家計の食事支出や介護保険の食費も参考に、現行の入院時食事療養費制度の見直しが提案され、委員から引き上げることに反対意見はなかった。今後、医療保険部会では自己負担分の検討を進め、食事療養費の総額については中医協で議論することとなる。【社会保険旬報編集部】

社会保障審議会医療保険部会=11月9日

現行制度は1食当たり640円で算定。1日当たり換算では1,920円となっており、その額は平成9年度から変わっていない。昨年の病院給食の委託単価は1,997円で、公定価格の1,920円を77円も上回っている。また、家計の食費支出も近年大幅に上昇している。一方、1食当たり640円の内訳は自己負担460円、保険給付180円となっているが、介護保険の1食当たり自己負担は482円で入院時の食費との差は22円となっている。

日本医師会の猪口雄二委員は、「20数年間見直しが行われず、食材料費等の高騰を受けてほとんどの病院の給食部門は赤字で、給食業者も提供が困難な現状となっている。そのため令和6年度診療報酬改定では医療機関に支払われる入院時食事の基準をぜひ引き上げてほしい。その際は負担のあり方の議論になると考えている。また、足元の食材料費の高騰の対応は待ったなしの状態なので、診療報酬改定までのつなぎとして医療機関に対する緊急的な支援をお願いしたい」と述べた。

健保連の佐野雅宏委員は、「食材費等の高騰を考えると、一定の引き上げは理解する。一方、食事はどのような方でも、自宅にいるかどうかにかかわらず必要なものなので、従来から食材費・調理費は自己負担額に入るものとして整理されてきた。今回の対応は自己負担分の引き上げによるものと認識しており、保険給付分には影響がないと考えている」と述べた。


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