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診療報酬改定の基本方針の基本的視点案を議論 医療保険部会(2023年10月27日)

社会保障審議会医療保険部会(写真)は10月27日、令和6年度診療報酬改定の基本方針策定に向けた基本認識、基本的視点、具体的方向性の案を議論した。厚労省は、雇用情勢を踏まえた人材確保を重点課題に設定することを提案したが、賛否両論があった。11月1日の医療部会でも基本的視点案などについて議論した。【社会保険旬報編集部】

厚労省は、改定の基本的視点のうち、「現下の雇用情勢を踏まえた人材確保・働き方改革等の推進」を重点課題に設定することを提案。医療分野では賃上げが他産業に追いついていない状況にあるため人材確保が困難とし、医療現場を支える医療従事者の人材確保の取組みを進めることが急務であるとの認識を示した。

健保連の佐野雅宏委員は、重点課題に「現下の雇用情勢を踏まえた人材確保・働き方改革等の推進」を設定することには「保険財政に対する危機感が乏しい」と反対し、「効率化・適正化を通じた医療保険制度の安定性・持続可能性の向上」を代わりに重点課題にするよう求めた。
限られた人材を有効活用することが重要として、「全体として賃金を上げるのではなく、医療資源の適切な配置により生産性を高め、医療を効率化するべき」と述べた。
医療従事者の給与水準については、医師や看護師などの医療職も含めて、実態を正確に把握した上で議論すべきとの認識も示した。

日本医師会の猪口雄二委員は「現下の雇用情勢を踏まえた人材確保・働き方改革等の推進」を重点課題とすることに賛成を表明。「とにかく令和6年度診療報酬改定は従来の改定に加えて、物価上昇・賃金上昇を十分に反映させるものであってほしい」と述べた。

進捗が報告された全世代型社会保障改革について、猪口委員は、少子化財源を確保するために医療財源を切り崩すべきではないと主張。「政府には社会保障と少子化対策の両方の視点をもって取り組んでいただきたい」と述べた。

少子化財源を確保するための新たな支援金制度で医療保険の賦課徴収のルートを使うならば、医療保険制度の運営にマイナスの影響が生じることを懸念する意見も出された。


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