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謎の新興国アゼルバイジャンから|#44 全世代型社会保障とは――政策に取り組む後輩たちに贈る言葉(上)

香取 照幸(かとり てるゆき)/アゼルバイジャン共和国日本国特命全権大使(原稿執筆当時)

*この記事は2019年3月7日に「Web年金時代」に掲載されました。

本稿は外務省とも在アゼルバイジャン日本国大使館とも一切関係がありません。全て筆者個人の意見を筆者個人の責任で書いているものです。内容についてのご意見・照会等は全て編集部経由で筆者個人にお寄せ下さい。どうぞよろしくお願いします。

みなさんこんにちは。

ここアゼルバイジャンはあまり郵便事情がよくないので、日本からの郵便が届くのに結構時間がかかります。
聞けば、この国の文化では、手紙というのは個人に託して届けるものだったんだそうで、例えばバクーに住んでいる地方出身の人たちは、同郷の人が帰省する際にその人に手紙や荷物を託す、自分が帰るときにも同郷の仲間の手紙や荷物を預かって届ける、そんな風になっていたんだそうです。

旧ソヴィエト連邦時代には連邦構成国一律の郵便システムが構築されていてそれなりに機能していたそうですが、ソ連崩壊後はあまり利用されず、みんな使わないので便利にもならず、遅配誤配は日常茶飯事(欠配ってのも結構あるらしい)で使い勝手も悪いし信用がない、というのでさらにみんな使わない、という悪循環で、昔に戻ってしまったんだそうです。

確かに、街なかで郵便ポストというものをほとんど見かけません。郵便局も本局のような大きいものはありますが、日本のように身近なところには見当たりません。
そう思って見ていると、ナショナルディレセプションの招待状のような「確実に相手に届けないといけないもの」はどの公館も基本的に運転手たちが各国大使館や外務省に直接届けていますし(日本大使館もそうしてます)、公邸会食の案内なんかもそうしています。(もっとも、最近では電子メールで送信されてくる招待状も多くなりました。これも時代ということでしょう。それに、こっちの方が確実だったりしますから(笑))

そう考えると日本の郵便システムって立派ですよ。宅配便っていう競争相手もいるのでいい意味で緊張感があってサービス向上にも努力してますし。

地域コミュニティの紐帯が強いこの国らしいと思いましたが、他方でこれだけITが進んでインターネットやスマホが普及している国なのに、日本からの郵便が届くのに1ヶ月(時にはそれ以上)もかかったりするっていうのは、何となく釈然としない感じがします。

ともあれ、1月下旬になって、日本からの年賀状が何通か無事(笑)届けられました。その中で、期せずして3人の後輩―厚労省・内閣府・そして経産省、いずれも社会保障・税一体改革に取り組んだ当時の同僚(部下)たち―から同じ「新年の挨拶」がありました。
曰く、「今年は全世代型社会保障に取り組みます」と。
なるほど。

というわけで、今回と次回に分けて「全世代型社会保障」のお話をいたします。

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