勤務間インターバル制度を「導入した」企業は全体の6%、「知らない」企業は19.2%—―令和6年版過労死等防止対策白書
厚生労働省は、10月11日に「令和6年版過労死等防止対策白書」を公表した。これによると、勤務間インターバル制度について、制度を導入している企業(就業規則または労使協定等で定めているもの)の割合は、調査対象である常用労働者30人以上の民営企業で、令和5年で6.0%となった。前年の5.8%から0.2ポイントの増加となったが、「制度を知らない」と回答した企業は全体で19.2%であった。
令和6年に閣議決定された「過労死等の防止のための対策に関する大綱」の数値目標は、労働者数30人以上の企業のうち、令和10年までに勤務間インターバル制度を導入している企業割合は15%以上、同制度を知らなかった企業割合を5%未満としているが、目標数値とは乖離する結果となった。
「勤務間インターバル制度」とは、1日の勤務終了後、翌日の出社までの間に、一定時間以上の休息時間(インターバル)を設けることで、就業者の生活時間や睡眠時間を確保して、健康保持や過重労働防止を図るもので、2019年から制度の導入が努力義務化された。
白書によると、制度導入の予定はなく、検討もしていない企業のうち、導入していない理由として「制度を知らなかったため」と回答した企業の割合は、令和5年で23.5%であった。導入していない理由として「制度を知らなかったため」と回答した企業の産業別割合をみると、「運輸業、郵便業」、「卸売業、小売業」、「宿泊業、飲食サービス業」の順に高くなった。このうち、「運輸業、郵便業」、「卸売業、小売業」の令和4年と令和5年の「制度を知らなかったため」と回答した企業割合をみると、前者は26.0%から37.3%、後者は17.3%から27.0%と、令和5年の方が「知らない」とする割合が顕著に増加している。
令和6年8月2日に閣議決定された「過労死等の防止のための対策に関する大綱」では、労働者数30人以上の企業のうち、令和10年までに勤務間インターバル制度を導入している企業割合を15%以上とすること、同制度を知らなかった企業割合を5%未満とすることを目標としている。
厚生労働省では、中小企業を対象に勤務間インターバルへの取り組みに対し、助成金を設け支援(厚生労働省「働き方・休み方改善ポータルサイト」)。また、東京労働局では、社会保険労務士の中から任命した「働き方・休み方改善コンサルタント」を紹介。企業の労働時間等の設定の改善に向けた取組みを支援するため、働き方改革に取組む企業への個別訪問によるアドバイス、複数の企業が参加する講習会での講師派遣などを行っている。
厚生労働省「令和6年版過労死等防止対策白書」
厚生労働省「働き方・休み方改善ポータルサイト」
東京労働局「働き方・休み方改善コンサルタント」のご案内」