国立大学病院、働き方改革対応で人件費100億円増加 労働時間短縮に向け支援を要請(12月7日)
国立大学病院長会議は12月7日の会見で、医師の働き方改革への対応状況を発表した。医師の労働時間短縮の取組み推進に伴い、会員全体で毎年約100億円の人件費が増加していることを明らかにした。
同会議が実施した8月時点の調査結果では、医師2万1977人のうち、時間外・休日労働時間が1860時間を超える医師は484人で、2.2%を占めた。11月の再調査では、今後労働時間短縮の取り組みをさらに進めれば、2024年4月に1860時間を超える医師は4人になるとの結果を示した。
竹原徹郎副会長(大阪大学医学部附属病院長)は、「労働時間短縮の取組みを推進するには、勤務体制の見直しやタスクシェア・シフトなど財政負担を伴うさまざまな工夫が必要だ。働き方改革・地域医療構想・医師の偏在対策の三位一体での改革実現に向けた支援をお願いしたい」と要請した。
働き方改革の対応に向けては、メディカルスタッフなどの人員を増やしている。平成29年度から令和3年度において医師事務作業補助者は61%増、理学療法士17%増、臨床工学技士17%増、作業療法士12%増などとなっており、人件費は平成29年度から毎年約100億円増加していることを示した(上図)。
竹原病院長は「労働時間短縮の取組み推進に伴い、今後も人件費の増加が見込まれる。働き方改革を実現していくためにも、診療報酬などによるさらなる評価をお願いしたい」と訴えた。
光熱費の負担増は124億円に
光熱費の影響についても報告した。国立大学病院全体での対前年度負担増加額は今年6月時点の試算は70.1億円増としていたが、直近の10月の試算では124億円の負担増となることを明示。一方、県からの支援額はわずか5.8億円であるとした。
同会議では「節電にも限界があり、コストを医療費に価格転嫁できない」とし、迅速かつ効果的な支援を要望した。