地域差への対応が課題に 地域包括ケアの深化・推進を介護保険部会が議論(8月25日)
社会保障審議会の介護保険部会(菊池馨実部会長)は8月25日、地域包括ケアシステムのさらなる深化・推進について議論した。
75歳以上人口については、今後都市部では急増する一方、すでに高齢化が進んでいる地方では緩やかに伸びることが指摘されており、地域差への対応について多くの意見が出された。
特養の入所申込者でみると、依然待機者が多い地域がある一方で空床が出ている地域もある。女子栄養大学の津下一代委員は、「在宅ケアの限界点を上げることも必要だが、限界点を超えた場合に、受け皿として、施設の在り方についても、都市部と地方間での紹介や連携についてどうしていくか考えるべき」と指摘。
日本介護支援専門員協会の濵田和則委員は、介護ニーズの増加には、定期巡回・随時対応型訪問介護看護や(看護)小規模多機能型居宅介護等、受け皿になるのは包括型で対応できる事業所としつつ、「他のサービス基盤が整備されている地域については、訪問系や通所系、宿泊サービス等を連結して、機能的に同等とみなしていいのではないか」との考えを述べた。
介護ニーズの増加に伴い、2040年に必要な施設サービス量は30%の増加が見込まれている。これに対し全国老人保健施設協会の東憲太郎委員は、「人材が全く足りていないので、人材問題を放置したまま、施設サービスを増やしていくことは危険であり配慮をお願いしたい」と念押しした。
また、人材について日本経済団体連合会の井上隆委員は、「2040年に向けて生産年齢人口がそもそも減少するので、今までの延長線上で確保しようとしても対応しきれない。介護ニーズがピークアウトした自治体の施設と、都市部でニーズが増加しているところで、人材のマッチングができないのか検討すべき」と提案した。