日医・四病協・全自病が新型コロナ患者の病床確保へ具体策(2月3日)
日本医師会は2月3日の会見で、新型コロナ感染症患者の病床確保に向けた具体的方策を発表した。都道府県ごとに医師会・病院団体が連携して協議会を立ち上げ、受入病床の確保に取り組む方策を盛り込んでいる。猪口雄二副会長が説明した。
日医と四病院団体協議会、全国自治体病院協議会で組織する「新型コロナウイルス感染症患者受入病床確保対策会議」が1月27日の会合でまとめた。
都道府県医師会、都道府県病院団体と支部が連携して協議会を立ち上げ、都道府県行政との間で緊密な連携を図る。協議会はウエブを活用し、頻回かつできるだけ多くの病院が参加できるようにする。
協議会は情報共有の仕組みを構築し、新型コロナ患者の発生状況や病床使用率、宿泊療養施設の使用率、不足する医療器機材の支援要請などを発信しあい、必要な連絡・調整を図る。
受入病床は、協議会または地域医療構想調整会議などが都道府県調整本部と連携して確保する。
急性期を過ぎ、引き続き入院を要する患者の転院については、協議会または地域医療構想調整会議などで転出希望病院と転入可能医療機関のマッチングを行う。転入可能な医療機関に対しては、新型コロナ患者の退院基準の周知徹底と理解促進を図る。
宿泊療養や自宅療養を充実させるため、行政から地域医師会への健康フォローアップ業務の委託を推進し、医師・看護師・事務職の派遣を行う。
一方、協議会は他の都道府県の事例紹介、地域の医師・看護師などの派遣を行う。派遣にあたっては、JMAT(日医災害医療チーム)、DPAT(災害派遣精神医療チーム)、AMAT(全日本病院医療支援班)の枠組みを活用する。新規で受け入れる病院への技術指導員の派遣のほか、受入病院に医師・看護師を派遣した病院や受入病院の外来診療部門への派遣、受入病院から回復後のコロナ患者やコロナ以外の患者を引き受けた病院への派遣を行う。また、地域の診療所が受入病院からの外来患者の受け入れることを支援する。
全日本病院協会会長でもある猪口副会長は、病床の受入確保について「民間病院といえどもある程度の規模の病院はほとんど受け入れを行っている。ここから増やしていくのは難しいというのが事実だ」と述べた。
1月27日の対策会議での意見として「中小規模の病院ではゾーニングが物理的に難しい」「中小規模の民間病院はケアミックス型が多く、医師・看護師の配置が少ないため受け入れる余裕がない」と厳しい発言を紹介する一方、「コロナ患者は基幹病院でみるが、他の救急患者は民間病院で受け入れている」「コロナ患者を受け入れている基幹病院、後方支援病院、介護施設が毎週オンラインで会議を開催している」などの事例がでたことを紹介。
その上で、「この対策会議を通して情報を整理し、都道府県医師会や都道府県病院団体・支部に伝えていきたい。好事例をまとめて、さまざまな方策を考えて発信していきたい」と述べた。
一方、中川俊男会長は、「特にICUや急性期医療がひっ迫している状況下では回復した患者の後方医療機関の受け入れが最重要課題となる。そのために受け入れる医療機関に退院基準を理解してもらうことが重要であるとの認識で一致した」と述べ、日医として1月29日付けで都道府県医師会に早急な周知徹底を依頼したことを示した。