ゲノム情報による不当な差別等への対応で厚労省がQ&Aを公表
厚生労働省は8月20日、労働分野におけるゲノム情報による不当な差別等への対応の確保に関するQ&Aを公表した。
生まれながらに固有で、子孫に受け継がれ得る個人のゲノム情報(遺伝情報)については、当人はもとよりその家族についても将来の健康状態を予測し得る等の特性があることから、病気の診断や治療、予防への活用が期待される一方で、ゲノム情報による不当な差別等が懸念されている。
Q&Aは、令和5年6月16日に公布・施行されたゲノム医療推進法(良質かつ適切なゲノム医療を国民が安心して受けられるようにするための施策の総合的かつ計画的な推進に関する法律)において、ゲノム情報による不当な差別等への適切な対応の確保に関する条項が盛り込まれたこと等を踏まえ、同省が労働分野における対応を整理した。
それによると、会社(事業主)は採用選考時に応募者のゲノム情報の提出を求めることはできず、問題があるような事例はハローワークにおいて指導・啓発を実施するとともに、違反行為をした場合は職業安定法に基づき罰則の対象となり得るとした。
また採用後の労働安全衛生法に基づく健康管理のための情報としても、会社(事業主)は労働者のゲノム情報を収集することはできないと明記。労働者がゲノム情報の提出の求めに応じてしまった場合であっても、ゲノム情報に基づく解雇、配転や昇格・昇進に関する不利益取り扱いは権利濫用として無効となり得るとの考えを表明した。