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#15 労働者協同組合は究極の働き方改革と言えるのではないか

 労働者協同組合の組合員の賃金は、どう決められるのだろうかと考えた。

 労働者協同組合の組合員は、労働者協同組合と労働契約を締結するから、最低賃金は保障されるはずだ。また、労働者協同組合は、「地域における多様な需要に応じた事業」(労働者協同組合法第一条)を行い、組合は「営利を目的としてその事業を行ってはならない」(同法第三条第三項)とも法律で規定されているから、需要に応じて提供される生産物やサービスは、「商品」という性格よりも、公共財や公共サービスに近い性格ではないかと考えられる。

 商品は、営利を目的に、生産・売買される財やサービスであるが、公共財や公共サービスは国や自治体の財政によって実施され、そういった事業に100%従事する人たちが公務員と言われている人だが、基本的に、「商品」を扱わない公務員に支払われる給料と労働者協同組合の組合員に支払われる給料は似たようなものではないか。

 営利を目的として行われる事業では、商品を売買することによって、営利(儲け)を手に入れる。資本主義経済においては、労働力も商品となり、売買の対象となり、営利(儲け)を生み出す源とされている。

 労働者は労働力商品を売って、賃金を得ることになるが、賃金は労働力を再生産するために必要な分とされ、一方、労働力商品は、賃金として支払われる分以上の仕事をしてしまうという優れた商品で、この支払われない部分が、営利(儲け)を生み出す部分となる。

「営利を目的としない」ことが、「商品を取り扱わない」ことと必ずしもイコールではないが、「営利を目的とする」のが資本主義経済の目的で、それは労働力さえも商品とすることで、社会の経済様式として支配的な地位を占めることになった。商品は営利目的と切り離せない関係にあると言える。

 労働者協同組合は、①多様な就労の機会を創出することを促進する②地域における多様な需要に応じた事業が行われることを促進する③持続可能で活力ある地域社会の実現に資する――ことを、働くことの目的とするとともに、「営利を目的としてその事業を行ってはならない」と資本主義経済が目的とする「営利」をきっぱりと否定する。

 労働力が商品化された資本主義においては、労働者は商品として労働力を売り、会社(資本)が、労働力商品を営利目的で使用する。そして、そもそも労働力を売ってしまった労働者自身が働く現場で、働くことの目的を考えたり、語ったりする立場にはない。

 こうしたことを考えると、労働者協同組合は、資本主義経済の営利を目的としたり、労働力を商品化したりすることを否定する、新たな働き方を提案する究極の働き方改革と言えるのでないか。そして、資本主義的生産様式が支配的な社会にあって、労働者協同組合がその目的を果たしていくことの取組が自体が、持続可能で活力ある地域社会の実現につながっていくことになるのではないだろうか。。

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