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女性の自殺者増加、新型コロナの影響で失職や自粛生活が要因に(10月13日)

東京都医師会の平川博之副会長は10月13日の会見で、新型コロナ感染症の影響として自殺者数の動向について見解を示した。女性の自殺者数が増加しており、新型コロナの影響による失職や自粛生活、リモートワークなどが要因になっていると推測した。

全国の自殺者数を2020年と過去3年間(2017~2019年)の平均値で比較すると、4月から7月は増えていないが、8月に入ると過去3年間の平均が1721人に対し、今年は1849人となった。特に若年者と40歳未満の女性の増加が目立つ。20歳未満と20代の自殺者の合計は329人で前年に比べ121人増加。40歳未満の世代では男性の自殺者数は356人で前年比31%増、女性の自殺者数は189人で77%増となっている。

一方、東京都の自殺者数を2020年と過去3年間の平均値で比較すると、6月から増え始めて8月は過去3年間の平均が167人に対し、今年は210人となった。8月の男女の自殺者数をみると、男性127人(過去3年間の平均112人)、女性83人(同56人)となり、女性は1.5倍になっている。

こうした実態を踏まえ、現在の女性自殺者増加要因として、「失職」「自粛生活」「リモートワーク、休校措置」「著名人の自死」をあげた。

失職は、特に観光や宿泊、飲食業などの非正規女性職員が多い業種で顕著な傾向を示していることから、生活苦や経済的不安が高まっている。

自粛生活では、ママ友のランチやPTAサークル、ヨガ教室、情報交換の場などが閉鎖され、ストレス発散や気分転換ができずに悩みを一人で抱え込む。

リモートワークや休校措置では、夫も子どもも在宅生活のために1日3食用意するなど明らかに家事負担が急増。気の休まる時間や居場所がなく、会話も続かず、愚痴の言い合いとなり、険悪な雰囲気のなかでDVや虐待などが顕在化している。

著名人の死は、夢や感動、憧れの対象となる人物の死は、心が衰弱し大きな動揺となる。

平川副会長は、自殺念慮を打ち明けられた時の対応として「真剣に対応すれば、自殺を話題にすることは危険ではなく、むしろ自殺予防の第一歩となる。危ないと感じたら、その人を決して一人にせずに必要な対処をし、確実に相談機関や精神科などの専門医療につなげる」と述べ、東京都医師会では各医療機関と専門医を結ぶネットワーク構築を進めていることを示した。  

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