日医が医薬品の安定供給に向けて「業界再編が必要」(2023年4月26日)
日本医師会の宮川政昭常任理事は4月26日の会見で、医薬品の安定供給についての現状認識と課題を発表した。医薬品の安定供給に向けて、「業界再編が必要である」と訴えるとともに、国の強いリーダーシップによる医薬品の産業構造の強化を求めた。
医薬品安定供給の問題点として、◇「製造管理・品質管理」の不徹底を端緒とした企業カバナンスの欠如◇複雑化する悪循環に陥ってきた内的要因である「共同開発」や「製造委受託の完全分離」◇「多品種少量生産」という業界特有の構造◇収益構造や産業構造◇安定供給に必要な薬価を維持する仕組みのあり方◇新薬創出加算や市場拡大再算定の運用及び制度のあり方――などをあげた。
収益構造や産業構造の解決に向けては、「特許切れ市場で安価な製品を上市し、上市後も売り逃げをせず、安定的に供給し続ける体制を持ち、優良にマネジメントする企業を残す必要がある。だが、後発品の薬価制度には問題があり、赤字に陥るまでの期間があまりにも短く、薬価の予測可能性が低い。このままでは大手企業でさえも先発医薬品の特許切れ後に新規後発品を発売できなくなる恐れがある」と指摘。
「医薬品の産業構造をより強固なものに」
その上で、「国内の優良な後発品企業を伸ばすためには、価値のある後発品を上市できない企業や、売り逃げする企業を淘汰していくしかない。業界再編が必要である」と述べた。
国の関与について、「昨年年5月に成立した経済安保推進法では、医療現場で必要な量を切れ目なく安定供給できる体制構築が目標とされているが、他業種に比べ予算規模も小さく、その対策は十分ではない。安定供給問題は後発品企業だけでなく、先発品企業も含めた業界全体の問題と認識しなければならない。国の強いリーダーシップにより、医薬品の産業構造をより強固なものにしなければならない」と要望した。