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#14 死亡後の障害年金請求

 障害年金請求中に請求者が死亡してしまった事例は前号で紹介しました通り、生計同一関係にある3親等以内の親族が未支給年金請求という手続きをすれば、死亡者に支給すべきであった障害年金を代わりに受け取れる制度があります。
 では、既に死亡してしまっている人の障害年金を、遺族等が代わりに請求できるかというのが、今回の事例です。
 具体的に内容を検証していきますが、このような場合は、次のように初めから障害年金の相談内容ではないことが多いです。

 まず、死亡者は厚生年金加入期間が長く、加入中に死亡していますので、遺族厚生年金が妻に発生します。通常であれば、遺族厚生年金の手続きの案内をして終了ですが、「その他情報」の「ペースメーカーを装着していた」というところに注目しなければなりません。
 ペースメーカーを装着していたということは、以前より心臓の病気を患っていたことが分かります。継続して厚生年金に加入していることから、その心臓病の初診日は厚生年金加入中にあることが想像されますので、障害厚生年金を受給していても不思議ではありません。(ペースメーカー装着は障害厚生年金3級以上のため。)
 しかし、相談者に伺ったところ、障害年金という制度を知らなかったため、受給はしてないし、請求の相談をしたこともないとのことでした。今からでも請求できるようであれば、請求したいというのが相談者の希望です。


1.障害認定日請求に限り死亡後でも請求できる

 結論から言いますと、死亡後であっても障害年金の請求を遺族等が代わって請求することは可能です。
 しかし、死亡日以降に年金受給権を発生させることはできませんので、請求した日が受給権発生日となる「事後重症請求」はできません。従って、遡って受給権を発生させることができる「障害認定日請求」に限られることとなります。
 また、請求できる遺族等とは、障害年金が決定された場合に未支給年金を受け取ることができる遺族に限られますので、死亡者と生計同一関係がある3親等以内の親族となります。

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