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#13 障害年金と振替加算

 本連載は、これまで障害年金の代表的な傷病及び手続き方法について解説して参りました。これにより、障害年金の請求について、大方の勘所は解説したことになります。
 しかしながら、障害年金の相談は類似した事例はあっても、全く同じ事例はありません。相談者の話をよく分析し、過去の類似した事例をいくつも組み合わせて対応することが、障害年金相談を考える上で一番の勘所かも知れません。
 そこで、これからは、いままでの連載内容を踏まえて、より実践に即した「請求事例」を検証していきたいと思います。

 まず今回は、慢性腎不全による人工透析の請求事例です。人工透析を開始したことにより、障害年金の請求をしたいと、本人に代わり配偶者が代理人として来ています。どうやら本人は傷病により、相談に来れる状態ではない模様です。
 まず、初診日の特定と請求できる障害年金の種類を決めなければなりませんので、なぜ慢性腎不全になったのかを調べる必要があります。請求者の代理人から聞き取った内容は次の【事例13:請求事例情報】の通りです。傷病の経緯や職業、さらには本人及び妻の年齢に注目してください。


1.初診日の特定

 腎臓の異常に気付いたのがテレビの特集であることから、内科Aを受診する以前に他院を受診したことはなさそうです。また、本来ですと、そこまで腎臓が悪ければ、健康診断で指摘を受けても不思議ではありませんが、仕事が忙しく健康診断を受けていなかったこと、また、社長という立場から健康診断の受診を指示する者もいなかったことが容易に想像されますので、テレビを観るまで腎疾患に気付く契機がなかったこともうかがえます。
 以上のことを踏まえますと、初診日は内科Aを受診した「令和3年4月29日」であると特定できます。

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