経験・技能のある障害福祉人材で2万円の処遇改善を実現(11月12日)
厚労省は11月12日、令和2年度障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査結果を公表した。令和元年10月に導入した「福祉・介護職員等特定処遇改善加算」を取得している事業所における「経験・技能を有する障害福祉サービス等従事者(常勤)」の平均給与額を平成31年2月と令和2年2月で比較すると、2万1540円増加した。他方、同加算を取得している事業所の福祉・介護職員では1万7250円増加した。
同加算は、経験・技能を有する従事者に重点化しつつ福祉・介護職員の更なる処遇改善を進めることが狙いであり、一定の効果が確認された。
4割の事業所で加算を算定
福祉・介護職員等特定処遇改善加算(特定処遇改善加算)は、同時期に介護サービスで導入された「介護職員等特定処遇改善加算」と同様の仕組み。
福祉・介護職員処遇改善加算(処遇改善加算)Ⅰ~Ⅲのいずれかを算定していることを前提に、処遇改善加算の職場環境等要件に関して複数の取り組みを行っていることや加算に基づく取り組みについて、ホームページへの掲載等により「見える化」を行っていることが算定要件。サービスごとに福祉専門職員配置等加算等の取得の有無により加算率が2段階で設定。経験・技能のある従事者に重点化しつつ、他の福祉・介護職員、さらに事務員などの他の職種にも一定の柔軟な配分を認めている。
今回の調査は、居宅介護や施設入所支援など23サービスを対象として実施。層化無作為抽出法で抽出した9470事業所を対象とし5904事業所から回答を得た(有効回答率62・3%)。処遇改善加算や特定処遇改善加算の算定状況などを調べた。
処遇改善加算Ⅰ~Ⅲを取得している事業所は81・1%で、このうち加算Ⅰが61・8%。さらに処遇改善加算を取得している事業所で特定処遇改善加算を取得している事業所は53・3%で、このうち加算Ⅰが40・4%、加算Ⅱが12・9%。なお全体に対する取得の割合は42・7%で、このうち加算Ⅰが32・4%、加算Ⅱが10・3%となっている。
定期昇給の実施が6割
経験・技能を有する障害福祉サービス等従事者(福祉・介護職員のうち介護福祉士等の資格を有する者やサービス提供責任者等、常勤、平均勤続年数10・6年)の平均給与額を平成31年2月と令和2年2月で比較すると、2万1540円増加。特定処遇改善加算を取得している事業所の福祉・介護職員では1万7250円増加していた。
給与等の引き上げの実施方法では「定期昇給を維持して実施」が最も多く57・2%。次いで「各種手当を引き上げ・新設」が39・1%(いずれも予定を含む)。
経験・技能のある従事者の賃金改善状況をみると、「既に賃金が年額440万円以上となっている者がいる」が60・0%と最も多く、次いで「改善後の賃金が年額440万円以上となる賃金改善を実施」が38・4%。
特定処遇改善加算はその他の職種にも柔軟に配分できるが、最も多かったのは事務員で78・9%、次いで看護職員52・9%など。
特定処遇改善加算の届出を行わない理由については、「賃金改善の仕組みを設けるための事務作業が煩雑であるため」が30・7%。次いで「賃金改善の仕組みを設けることにより、職種間の賃金のバランスが取れなくなることが懸念されるため」が30・5%など。
ちなみに10月30日公表された令和2年度介護従事者処遇状況等調査では、介護職員等特定処遇改善加算を取得した事業所の勤続年数10年以上の介護福祉士(月給・常勤)でも平成31年2月と令和2年2月の平均給与額を比較した結果、2万740円の処遇改善が実現したことが報告された。
介護・障害双方で直接処遇に従事する経験・技能を有する者の処遇改善が進んだことが示された。