iDeCoの拠出限度額見直しなどを要望――企業年金・個人年金部会ヒアリング
厚生労働省の社会保障審議会企業年金・個人年金部会(部会長=森戸英幸・慶應義塾大学大学院法務研究科教授)は6月12日、前回に引き続き関係団体からヒアリングを行った。この日は、全国銀行協会、日本損害保険協会、日本証券業協会、投資信託協会、全国証券取引所協議会がヒアリングに出席した。
全国銀行協会は、企業型確定拠出年金(企業型DC)や個人型確定拠出年金(iDeCo)にかかる拠出限度額を撤廃するか、少なくともさらなる引き上げを行うよう要望。また加入者の属性によって異なっている拠出限度額を一部引き上げたうえで統一することも求めた。企業型DCとiDeCoに同時加入する場合はiDeCoの掛金額を調整することがあるが、企業型DCの拠出限度額に上乗せする形でiDeCo掛金の拠出ができるようにすることも要望。このほか、退職年金等の積立金にかかる特別法人税の撤廃なども要請した。
日本損害保険協会は、企業型DCの加入者掛金の限度額が事業主掛金以下に制限さえれていることについて廃止を要望した。iDeCoの加入や変更手続きなどの電子化、住所不明者に関する情報提供の利便性向上のほか、中小企業退職金共済組合(中退共)から他制度に移行する際の条件緩和などを求めた。
日本証券業協会、投資信託協会、全国証券取引所協議会は、iDeCoの加入可能年齢の引き上げや、企業型DC・iDeCoの受給開始年齢の引き上げ、拠出限度額の見直しと追加拠出枠の設置を要望した。原則すべての企業が従業員を私的年金に加入させることを義務づける自動加入のしくみを導入するとともに、希望しない従業員は加入しないことを選択できるようにする提案を行ったほか、iDeCoの各種事務手続きの簡素化・迅速化とマイナンバー活用による効率化を求めた。また、企業型DCの商品について事業主が元本確保型以外の商品を指定運用方法として選定した場合に、加入者が損失を被っても事業主が免責される措置を設けることなどを要望した。
ヒアリングは今後あと1回予定されており、厚労省は、日本年金数理人会、信託協会、生命保険協会からのヒアリングを行う予定だ。ヒアリング終了後は、論点を整理して議論に入っていくとしている。
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