企業年金・個人年金部会で関係団体からのヒアリングを開始
厚生労働省の社会保障審議会企業年金・個人年金部会(部会長=森戸英幸・慶應義塾大学大学院法務研究科教授)は5月17日、関係団体からのヒアリングを開始した。この日は、企業年金連合会、企業年金連絡協議会、国民年金基金連合会の3団体からヒアリングを行った。
企業年金連合会は、特別法人税の撤廃や定年延長時の給付減額の判定基準の見直し、企業型確定拠出年金(企業型DC)の拠出限度額の見直し、マッチング拠出における本人拠出額上限の見直し、ポータビリティを活用した老後資産形成の促進を提言した。
企業年金連絡協議会は、公的年金等控除など年金に係る雑所得税制と退職所得控除など一時金に係る退職所得税制について、お互いに中立的でバランスの取れた税制とすべく見直し検討について要望したほか、中小企業退職金共済制度など各種退職一時金共済制度から確定給付企業年金(DB)・確定拠出年金(DC)への制度移行にあたっての規制緩和、年金ポータビリティにおける移換手続のデジタル化推進、年金制度で定年延長する場合に給付減額となることが多い判定基準の変更、DC拠出限度額の見直し、DCにおけるマッチング拠出の掛金制限の撤廃や老齢給付金の加入者等期間と支給年齢の要件撤廃などを要望。
また、働き方の多様化およびさまざまな人事制度にも対応できる資産の受け皿として給付時のコースを複数設定し、個人のニーズに合わせて自由に選択できる「年金給付専用口座」の創設を政策提言としたほか、DCで加入者の商品選択が不要な協働運用手法の拡充や、拠出時に非課税枠を設け、運用時は非課税、給付時に課税となるEET型の日本版IRA(個人退職勘定)の創設、拠出時に課税、運用時と給付時に非課税となるTEE型の日本版Roth-IRAの創設を提言した。
国民年金基金連合会は、国民年金基金について第2号被保険者や第3号被保険者も加入できるようにすることや、個人型確定拠出年金(iDeCo)について加入年齢引き上げ等の制度変更が行われる際には国民年金基金についても制度の見直しを行うこと、国民年金基金の掛金額の上限を引き上げることを要望した。
また、iDeCoについては、加入時に公的年金や企業年金の加入履歴等を詳細に確認しなくてもいいようにするなど、多くの人が加入可能となるしくみを検討することを要望したほか、受給開始年齢の上限引き上げについては慎重に検討すべきとした。さらに、現在の資格区分および限度額区分についての簡素化・合理化の検討や、制度周知を図りつつ個人が必要な情報にアクセスしやすい取り組みの推進、iDeCoの拠出限度額引き上げ、自動移換者を増やさないような入り口対策なども要望した。
ヒアリングは今後2回予定されており、厚労省は、日本証券業協会、投資信託協会、全国証券取引所協会、全国銀行協会、日本損害保険協会、日本年金数理人会、信託協会、生命保険協会からのヒアリングを行うとしている。