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医療保険部会が医療費適正化計画の見直しを議論(10月13日)

社会保障審議会の医療保険部会は10月13日、制度改正に向けて医療費適正化計画の見直しについて議論した。厚労省は第4期医療費適正化計画の新たな目標として、効果的・効率的な高齢者への医療・介護の提供や医療資源の活用を提案した。

第4期計画は2024度から2029年度までの6年間の計画で、国と都道府県が作成。主な目標・取組みとして、▽医療費の見通し▽住民の健康保持の推進▽医療の効率的提供の推進―を記載する。

厚労省は第4期計画に向けた論点として、①現行の目標②新たな目標③体制の構築―を明示した。

現行の目標への対応では、①後発医薬品の使用促進、②重複投薬・多剤投与の適正化、③特定健診・保健指導、④入院医療費(地域医療構想との関係)―をあげた。

特定保健指導の医療費適正化効果は1人当たり約6千円

委員から、後発医薬品の使用促進では安定供給を求める声が出た。重複投薬・多剤投与では電子処方箋の導入によるチェック機能に期待があがった。医療費適正化計画での多剤投与の現行基準同月内「15種類以上」を、「6種類以上」に見直すべきとの意見も出た。

特定健診・保健指導は、厚労省が令和3年度大規模実証事業を踏まえ、医療費適正化効果は特定保健指導が1人当たり約6千円、実施率の目標(特定健診70%、特定保健指導45%)達成で200億円程度であると明かした。

入院医療費の推計は、厚労省は第3期計画と同様に地域医療構想に基づく病床機能分化・連携の推進の成果を反映させることを提案。ただ、地域医療構想では2025年時点の必要病床数しか算定していないため、2029年度の病床機能別の患者数見込みは地域医療構想の2025年時点の医療需要を基に機械的に算出し、2025年以降の検討状況を踏まえて推計方法について見直す考えを示した。

保険者協議会を都道府県・保険者・医療関係者の協力の場に

新たな目標では、1つめは「高齢者への医療・介護の効果的・効率的な提供」。厚労省は、医療と介護の複合ニーズを持つ高齢者が増加していることから、骨折リエゾンサービス(FLS)など医療・介護の機能連携を通じたサービス提供や高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施をあげた。

2つめは「医療資源の効果的・効率的な活用」。厚労省は、効果が乏しいというエビデンスが指摘されている医療や医療資源の投入量に地域差がある医療を提案。前者は風邪に対する抗菌薬処方、後者は白内障手術や外来での化学療法を例示した。リフィル処方箋も、活用状況の地域差に着目して取り扱いを検討するとした。

一方、体制の構築について厚労省は、都道府県が実効性のある取り組みができるように、保険者・医療関係者との方向性の共有・連携する枠組みを設けることを提案。保険者協議会を必置として都道府県計画へのかかわりを強化するとともに、保険者協議会への医療関係者の参画を促進して都道府県・保険者・医療関係者が協力する場にすることを求めた。

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